Q.まずは、自己紹介をお願いします。

私は台湾で生まれ、2歳のときに来日した。中学卒業後、片道切符でアメリカに渡り、現地の高校と大学を卒業した。大学時代には貿易会社を起業し、マッキンゼー・アンド・カンパニー（コンサルティング・ファーム）での仕事も経験した。そのまま、マッキンゼーに就職するつもりでいたが、当社（株式会社エンドレス）の社長をやっていた父から「日本に帰ってこい」という連絡を受けて、23歳で日本に帰国した。帰国後は、KPMGコンサルティング日本法人を経て、当社に入社した。

Q.会社の大まかな沿革を教えてください。

当社は、私の父が創業した会社。父は、台湾の高校を卒業後、日本の明治大学に進学した。大学在学中に起業し、当時は、日本で流行っている商品を台湾に輸出・販売する事業を行っていた。その後、ある人から「台湾でアクセサリーを生産できないか？」という相談を受け、それをきっかけに、1990年代よりアクセサリー事業に参入した。日本基準のアクセサリーを台湾で製造し、日本に卸すという事業からスタートした。

ただ、父は「卸売りの事業モデルではいずれ行き詰まる」と考え、2001年からは、「PARTS CLUB」という自社ブランドを立ち上げ、小売も自社で行う事業モデルに転換した。それにより、「アクセサリーのSPAモデル」を他社に先駆けて確立することができた。「SPA戦略」はユニクロと同じであり、当社は「アクセサリー業界のユニクロ」とも言えるポジションを目指している。

Q.どのような理念・想いで、どのような事業をされているか？

当社では、ビーズやアクセサリーパーツを販売する「PARTS CLUB」、完成品のアクセサリーを販売する「LUNA EARTH」など、複数の自社ブランドを展開している。

2001年から開始した「PARTS CLUB」は、「アクセサリーを作る楽しさと身に着ける喜びを世界中の方に届けたい」という理念のもと、ビーズやアクセサリーパーツ、キットを販売している。お客様は、ここで販売しているアクセサリーパーツを使って、自分に合ったオリジナルのアクセサリーをDIYで作ることができる。現在、全国に61の店舗がある（2024年4月現在）。

私は2018年に入社したが、2019年に立ち上げたのが「LUNA EARTH」というブランド。こちらは、完成品のアクセサリーを販売している。4年半で店舗数は53店舗にまで拡大し（2024年4月現在）、今後も毎年20店舗ずつ出店していく計画だ。将来的には、海外展開も視野に入れている。

Q.エンドレスの強みは？

アクセサリー業界で「SPAモデル」を確立していることが最大の強みだ。間に商社を挟まず、製造から販売までを全て自社で行っているため、他社よりも高い品質の商品を、他社よりも安い価格で販売できる。また、社内にデザイナーが在籍し、オリジナル商品を企画・デザインしている。そのため、当社の店舗には、常に新しいデザインの商品が販売されている。

Q.2代目経営者として、今後のビジョンなど教えてください。

まずは、2028年までに年商100億円を超えたい。日本のアクセサリー専業で100億円を超えている企業は、私が知る限り存在しない。また、2028年以降で世界展開を目指している。日本のアクセサリーは品質が高く、世界でも高く評価される。例えば、ロンドンのアクセサリーショップなどに行くと、日本より品質が低い商品が、日本より高い価格で売られている。「Designed in Japan」のアクセサリーは、世界展開できるポテンシャルがある。

Q.アクセサリー事業の世界展開に向けて、取り組んでいることは？

社内組織の土台作りに力を入れている。海外展開は数年先になるが、すでに、海外で活躍できる人材を採用、育成しはじめている。「アクセサリー事業の海外展開に挑戦したい」という方がいたら、積極的に採用していきたい。

Q.2代目経営者としての苦労は？それをどう乗り越えた？

入社当初は、父がやっている経営を、そのまま見よう見まねでやろうとしたが、上手くいかなかった。ストレスから十二指腸に３つも穴が空き、死にかけた経験もある。たくさんの失敗を重ねて、父には父にしかできない経営があり、自分には自分にしかできない経営があると気づいた。

私は、当社の過去の功績などをリスペクトしつつも、新しいことにチャレンジしていきたい。そのために、リーダーシップを発揮し、ワンチームで経営や事業に取り組んでいきたい。

Q.エンドレスで働く魅力は？

毎年新しいブランドが立ち上がるくらいスピード感が早い。企画から実行までを一気に進めることができ、そのような機会を活かせば、自分の成長につなげることができる。また、現在は、2次創業期というフェーズであり、仕組みや制度は未熟なところが多い。そのため、新たな改革にチャレンジしたい人、新しい仕組みや制度をつくることにチャレンジしたい人には、とても良い環境があると思う。逆に、楽をして働きたいという人は、当社には馴染めない。

Q.どのような部門があるのか？

当社には、約800名のスタッフが在籍しているが、そのうち9割近くの社員は店舗運営部に在籍している。ブロック長、SV（エリアマネージャー）の下で、店長および店舗スタッフが働いている。

そのほか、店舗開発部（新店舗の出店を行う）、営業部（大手アパレル企業などの小売店にアクセサリーの卸売りを行う）、商品事業部（新商品を企画・開発する）、商品管理部（物流の管理を行う）、販売促進部（広報・プロモーションを企画・実行する）、デジタルコマース部（EC・システム関連の事業を担当する）、人財開発部、経理部などの部門がある。

Q.社員が働きやすい環境づくりにも力を入れている？

3ヶ月に一度、手を挙げれば、役員に直接提案できる「社員チャレンジ制度」、自分のやりたい部署に立候補できる「FA制度」などがある。また、当社は約800名の従業員がいるが、そのうち780名ほどが女性であり、女性が働きやすい環境づくりにも力を入れている。例えば、出産休暇および育児休暇は長く取得することができ、お子さんが小学校に入学するまで雇用を継続することができる。このほか、ベビーシッターを利用できるチケットを配布していたり、保育園を探すサポートを行っていたり、生活面のサポートも行っている。

Q.採用の方針は？

まずは、「アクセサリーを作る楽しさと身に着ける喜びを世界中の方に届けたい」という当社のビジョンにどれだけ共感しているかは、最も重要な採用基準となる。また、熱量が高く、当社のスタッフがその人と一緒にチャレンジしていきたいと思えるかも大切な要素。そのような方を採用するために、採用面接では、「どんなビジョンを持っているか」、「当社に入社して、何を成し遂げたいのか」などを聞くようにしている。

Q.人材育成への取り組みは？

SV、アシスタントSV向けの研修を、毎月、東京で開催している。また、3ヶ月に1度、店長向けの合宿研修、新卒社員向けの研修も実施している。年に一度、ホテルを貸し切って、活躍した社員を表彰する表彰式なども開催している。

当社は、アルバイト・スタッフが、毎年300人くらい入社するが、そのうち60名くらいが正社員へとキャリアアップしていく。これほど多くのアルバイト・スタッフが正社員になる企業は少ないように思う。

Q.エンドレスへの就職を検討されている方に一言

まずは、一人一人、自分の夢やビジョンを持って欲しい。「人生を通して、何を成し遂げたいのか」を考えられる人になってほしい。当社の管理職は、それを実現できるようにサポートしていく。例えば、パソコンの知識が無くても「EC運営事業に携わる仕事で活躍したい」というビジョンがあるのであれば、それを実現できるようにフォローアップしていく。

また、グローバル化は今後ますます加速していく。日本人が海外に出ていくだけではなく、海外からたくさんの人が日本に働きに来る。そうなると、日本国内でも人材のグローバル競争が始まる。なので、ぜひ、グローバルな視点を持って、出来ない方法を考えるよりも自分に何が出来るかを考えて実行に移せる人材になっていただきたい。