地域密着型経営にこだわる愛知の住宅リフォーム上場企業

株式会社安江工務店 代表取締役社長 安江 博幸 様

Q.社長就任までの経緯は?

大学卒業後に三井ホーム、麦島建設を経て入社した。入社して5年後に、2代目の社長に就任した。当時の経営状況は、バブル期までは売上が右肩上がりに伸びていたが、バブル崩壊後の平成不況に見舞われた。平成不況時は、社長就任前であったが、下請け事業では生き残っていける見通しが立たず、住宅リフォーム事業にシフトしようと決断していた。しかしながら、私が社長に就任した1999年時は、売上7億円のうち、5億円が三井ホームの下請け、2億円が住宅リフォーム事業という構成であり、収益の大半を占める下請けがなくなると会社の経営も危ういという状況でもあった。

Q.社長就任後に取り組んだことは?

社長就任1年目は、「いかに住宅リフォーム事業を伸ばすか」を考え抜いた。そして、2年目から、チラシを配布するなど新規顧客の開拓を進めていくと、住宅リフォーム事業の売上が順調に伸び始めるようになった。しかしながら、2005年くらいから、チラシの反響が悪くなった。当初より、既存のお客様(OB)を大切にしてきたことで生き残ることができた。当社は現在、OBと新規顧客がバランス良く半々の構成となっている。

Q.OBを大切にすることで生き残れたとは?

チラシを撒き散らし新規顧客を開拓し続ける会社というのは、OBの仕事を受けたがらない傾向にある。なぜなら、新規顧客の平均単価は90万円である一方、OBの平均単価は40万円と低いからである。そのような会社とは反対に、当社は一人でも多くのお客様に安江工務店のことを知ってもらい、信頼いただくことが大前提と考えていた。従って、チラシは言わば、「将来的に当社のOBとなっていただくOB顧客候補を獲得するための手段」と捉えていた。

Q.伸び悩んだ時期をどのように乗り越えたのか?

2010年は、ついに三井ホームの下請けを行っていた事業部が不振となり、部門赤字になった。それはちょうど、2009年から進めていた住宅リフォーム事業の分業制が確立された時期でもあった。そこで、三井ホームの下請けを行っていた部門に対し、住宅リフォーム事業に鞍替えするように求めたが、彼らは新築にこだわりたいとのことであった。しかしながら、これまで下請けを続けてきたため、新規で案件を受注するノウハウが全くなかった。そこで、私の知り合いだった「納得住宅工房」の久保社長に相談させて頂いた。2010年には、納得住宅工房のボランタリーチェーンに加盟し、以来、ノウハウを学ばせて頂いている。

Q.現在の事業内容は?

現在は、住宅リフォーム事業を主力とし、新築住宅事業、不動産流通事業の3つの事業を展開している。住宅リフォーム事業では、「無添加・自然素材」にこだわり、デザイン性の高いリフォーム・リノベーションや増改築に至るまで、幅広い価格帯や客層に対応した総合的なリフォームサービスを提供している。

新築住宅事業では、新築注文住宅の建築請負を行っている。坪単価50万円台の高級家具付き住宅「CASTELLO DIPACE®(カステロ ディパーチェ)」、坪単価40万円台で豊富なプランの中から間取りをお選びいただけるキューブ型住宅「Storia®(ストーリア)」の2種類の商品を提供している。また、当社オリジナルの漆喰「無添加厚塗りしっくい®」は全ての天井・壁に標準仕様で提供しており、お客様からの評判も良い。

不動産流通事業は、中古住宅・土地等の不動産売買仲介業、および、不動産の買取再販をする事業を行っている。具体的には、お客様のニーズに合った不動産を取得し、リノベーションによって付加価値を高めて販売している。

Q.事業面の強みは?

第一に、ドミナント戦略を取っていること。名古屋市及び近郊に集中して店舗を出店し、ドミナントエリア内での露出度を高めることにより、集客力を強化している。また、OB顧客を対象とした感謝祭の開催やダイレクトメールの発送により、定期的なコミュニケーションを図っている。

第二に、スピード対応ができること。自社カスタマーセンターを通じて、現地調査の依頼やお客様のご要望がすぐエリアの担当に連絡され、素早い対応を行っている。

第三に、デザイン性の高い提案力。お客様との打ち合わせにはデザイナーが同席し、図面やイメージパースでお客様と完成イメージを共有している。一般社団法人日本住宅リフォーム産業協会が主催する「リフォームデザインコンテスト」では、8年連続で受賞しており、デザイン性の高いリフォームには自信がある。

第四に、オリジナル商材での差別化を図っていること。リフォームでは、無垢の床材に組み合わせて、内装に「無添加厚塗りしっくい®」、「コーラルストーン(サンゴや貝殻を主成分とした自然素材)」を使用し、意匠性の高い自然素材の空間を提供している。

第五に、OB顧客からの高いリピート率があること。創業47年という長い歴史の中で作り上げてきた地元でのお客様や取引先との信頼関係と、それらに基づくOB顧客の存在がある。リフォーム受注件数の約50%がOB顧客のリピートオーダー、もしくはOB顧客からご紹介いただいた新規顧客による案件となっている。

Q.今後の戦略は?

愛知県のほぼ全域にドミナントエリアを拡大する予定。2017年6月に岡崎市に出店し、2019年には豊橋市にも出店したい。並行して、既存商圏にも出店を続け、1店舗当たりの営業エリアを狭めることで、ドミナント戦略の強化を図りたい。

また、リフォームで培ったブランド力を利用し、新築住宅事業の拡大を図りたい。直近では、一宮店、岡崎店に新築住宅事業拠点を設置し、宿泊体験型モデルハウスをオープンする。

更に、アライアンスにより、関西などの他地域にも進出したい。リフォーム業界は、全国的にアライアンスや再編の可能性が高い業界だと考えている。当社は業界でいち早くパブリック・カンパニーとなったことで、アドバンテージを取っている。今後、住宅リフォーム事業を軸とし、新築住宅事業強化も図るためのアライアンス戦略を展開し、愛知県外にも積極的に進出していきたい。

Q.今後のビジョンは?

若手人材が次々と新規事業を興し、住宅分野だけでなく、地域の中でなくてはならない存在になっていきたいという想いがある。地域のインフラ的な存在になるために、「衣食住」のテーマを深掘り、人々が健康的な生活を送るために必要なサービスを総合的に提供できるような会社を目指して行きたい。

Q.今後の課題は?

まずは人材育成だ。当社の社員は、人柄はとても良いのだが、仕事のスキルや事業の企画力がまだ足りないと感じており、現在その強化に取り組んでいる。その一環として、新人社員に日経新聞や書籍を与え、その内容についてプレゼンさせ、それに対して経営陣がフィードバックするという研修を行っている。このように、下から鍛えることで組織全体の底上げを目指している。

Q.求める人物像は?当社で働く魅力や価値は?

第一に、人柄が良い方、正直で曲がった事が嫌いな方に入社して頂きたい。加えて、向上心があり、事業を興す意欲や自己研鑽の意欲が高い方にぜひ入社して頂きたい。

当社は、従業員みな人柄が良く、働きやすい環境が整っており、また、活躍するチャンスは大いに用意されている。実際、住宅リフォーム事業、新築住宅事業、不動産流通事業と多岐に渡る事業を行っているため、様々な職種を経験することができる。更に、今後は新規事業の立ち上げに注力していきたいので、新しい事業を創ることに意欲のある方には、ぜひチャンスを掴んで欲しい。

Q.経営者としての強みは?

様々なことを論理的に組み合わせ、新しい可能性を導き出すことが得意だと考えている。また、運が良いと考えている。これは、私自身に強い想いがあるからこそ、運が開けていると感じている。

会社概要

会社名株式会社安江工務店
事業内容・一般建築
・住宅リフォーム、リノベーション
・不動産の仲介、買取再販
代表者名安江 博幸
代表プロフィール1965年生まれ。大学卒業後、三井ホーム、麦島建設を経て、1994年安江工務店へ入社。1999年、代表取締役社長へ就任。
沿革1970年 愛知県名古屋市南区に建築営繕を目的として創業
1975年 (株)安江工務店を設立
2004年 天然素材を使った【無添加リフォーム®】を開始
2017年 東京証券取引所JASDAQスタンダード市場ならびに名古屋証券取引所市場第二部に株式上場
本社所在地〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄2-3-1 名古屋広小路ビルヂング
URLhttp://www.yasue.co.jp/