高速道路の情報装置で国内No.1、2014年からインドでも事業開始
名古屋電機工業株式会社 代表取締役社長 服部 高明 様
Q.社長就任時の問題意識は?
当社は、戦後間もない1958年に私の祖父が設立した会社で、私は2017年2月に5代目の社長に就任した。当社の主力製品である「道路情報板」の市場が今後成熟していく中で、中長期的な視点に立ち新たな事業の柱を創り出す必要あると感じている。
Q.現在の事業内容は?
「ITS(高度道路交通システム)情報装置事業」と「FA(工場自動化)検査装置事業」を中核事業としている。「ITS情報装置事業」は、国土交通省やNEXCOを顧客に抱え、道路交通情報を表示する「道路情報板」をはじめ、「車両標識装置」や「散光式警告灯」などの車載製品の設計から生産、製造、据え付け、保守を行っている。高速道路のITS情報装置においては、国内シェアNo.1である。近年、引き合いが多いのが「自走式標識車」であり、インフラの維持・修繕工事が増えていることが追い風となっている。また、スリランカやインドにおいても、当社の製品を納品し設置工事を行っている。
もう一つの「FA検査装置事業」は、電機メーカーや自動車メーカーを顧客に抱え、プリント基板の不良品を発見する検査装置を提供している。当社の検査製品は、日本国内だけでなく、海外でも使用されており、現在800台稼働している。特に強みを持っているのが、精度と信頼を要求される自動車メーカー向けの検査装置だ。
Q.事業面の強みは?
まず、「ITS情報装置事業」において長年積み重ねた実績が最大の強みだ。顧客先が官公庁やインフラ企業となる場合、入札制度が主流であるため、実績がなければ容易に参入することができない。加えて、設計、生産、製造、据え付け、保守まで、上流から下流までワンストップサービスを提供できることも強みだ。
Q.近年の目立った動きは?
近年では、海外進出や他社とのアライアンスを積極的に推進している。2014年には、インドへ進出するべく、高度道路交通システムに関連するサービスの提供を目的とする「Zero-Sum ITS Solutions India Private Limited」を国内IT企業の「株式会社ゼロ・サム」と共同出資により設立した。
2015年には、「第一実業株式会社」と「日本信号株式会社」と資本業務提携を締結し、アライアンスを強化した。「第一実業株式会社」と連携した狙いは、一つはFA検査装置事業においてプリント基板製造ラインの上流部分の検査装置事業を手に入れ、当社が上流から下流までフルラインナップを提供できる体制を築くことであり、もう一つは同社が有する海外での販売網・メンテナンス網を活用させていただくことにある。また、「日本信号株式会社」と連携した狙いは、一つはITS情報装置事業において警察関連の案件を強化すること、もう一つは同社が既にインドで鉄道事業を手がけていたため、インドの事業における協業を模索することにある。
Q.海外展開はどのように進めていくのか?
インドで進めている産学連携プロジェクトが2017年から5年間にわたり関わることになったため、インドでの事業機会を積極的に掴んでいきたい。そのためには、海外で活躍できる人材の育成も不可欠になる。
Q.今後の課題は?
まず、「ITS情報装置事業」の主力製品である、情報板と車載装置のシェアを伸ばし、確固たる地位を築いていきたい。そのためには、お客様のニーズに沿う形で技術力を高めていく必要がある。また、「FA検査装置事業」の収益化で、まずは適正な規模を追求し、シェアを伸ばしていきたい。いずれの事業においても、今後はお客様への提案力を高め、価格競争からの脱却を図っていくことが喫緊の課題だと捉えている。
また、当社にはない技術を持っている会社、当社にはできない工事ができる施工業者などとの業務提携には常にアンテナを張っている。そのほか、既存顧客に対し新製品を提供していきたいため、当社が提供できない製品やサービスを有している企業との業務提携も推進していきたい。
Q.経営者として大切にしていることは?
経営者として「雇用を守ること」、「従業員の生活を向上させること」を追求していくことが最も重要だと考えている。そのために、まずは中核である「ITS情報装置事業」と「FA検査装置事業」で堅実に収益を上げていきたい。
Q.求める人物像は?当社で働く魅力や価値は?
当社ではエンジニアを積極採用している。製品の一部分を追求するのではなく、製品全体に携わることができることを、遣り甲斐に感じてくれるエンジニアが多い。また、世の中に当社の製品が普及しているため、友人や家族に話すことができるのも当社で働くことの誇りになるだろう。そのほか、自社ブランドを有しているので、お客様と直接コミュニケーションを取れることも魅力の一つではないか。
会社概要
会社名 | 名古屋電機工業株式会社 |
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事業内容 | ・ITS情報装置事業 ・FA検査装置事業 |
代表者名 | 服部 高明 |
代表プロフィール | 2000年南山大学卒業後、名古屋電機工業へ入社。2009年取締役、2014年専務、2015年常務を経て、2017年代表取締役社長へ就任。 |
沿革 | 1958年 名古屋市中村区に「名古屋電機商事株式会社」を設立し、汎用電機品および受配電機器の販売を開始 1959年 「名古屋電機商事株式会社」と「名古屋変圧器製作所」が合併し、「名古屋電機工業株式会社」に名称を変更 1966年 日本初の遠隔操作が可能な「電光情報盤(電光掲示板、道路情報板)」として、第1号機を建設省岐阜国道工事事務所(現:国土交通省岐阜国道事務所)に納入。(ITS情報装置関連事業のスタート) 1987年 レーザー光線を用いた「はんだ付け外観検査装置」を開発し販売開始(FA検査装置カンパニー関連事業のスタート) 2000年 名古屋証券取引所市場第二部に上場 2013年 100%出資子会社株式会社インフォメックスを吸収合併 2014年 インド、カルナタカ州バンガロール市に高度道路交通システムに関連するサービスの提供を目的とする合弁会社「Zero-Sum ITS Solutions India Private Limited」を株式会社ゼロ・サムと共同出資により設立 2015年 第一実業株式会社と検査装置事業において資本業務提携契約を締結 2015年 日本信号株式会社と情報装置事業において資本業務提携契約を締結 |
本社所在地 | 〒490-1294 愛知県あま市篠田面徳29-1 |
URL | https://www.nagoya-denki.co.jp/ |