アジア展開を拡大するメーカー機能を内蔵した商社

株式会社カテックス 代表取締役社長 加藤 巳千彦 様

Q.創業からの沿革は?

1934年に、私の祖父がゴム製品の卸売り事業を名古屋で創業したのが、当社の始まりだ。戦後の物資が不足している時代に、祖父が物資を集め、お客様にゴム・樹脂製品を安定供給したことが現在の事業の基盤となっている。1965年には、メーカーから求められる部品を加工する事業も始めるようになった。それまではカタログ製品の卸売りが中心だったが、お客様が必要とする部品を提供できる体制を築き上げた。1971年に父が経営を引き継いでからは、インフラ事業に注力するようになり、土木資材事業の原型が出来上がった。1975年に入ると、商社不要論が叫ばれるようになったが、当社は取引先のメーカーに資本参加し、その営業を担うなど、従来の商社機能に留まらず、新たな価値創造を追求してきた。

Q.社長就任までの経緯は?

私は、大学卒業後、当社の取引先であった「三ツ星ベルト」へ就職し、生産部での輸出入業務、広島での営業経験を経て、当社に入社した。当社入社後は、大手情報機器メーカーとイギリスで立ち上げた合弁会社に5年間出向し、工場運営を経験した。一旦日本に帰国したが、ベトナムでゴム工場を新設することになり、ホーチミンで2年間仕事をした。

このような海外経験を経て、日本に戻ったのだが、メーカーの図面を読めない営業マンがいることに驚いた。当社の先行きに不安を感じ、1996年に事業部長として社内改革に着手した。

2000年に父を亡くし、当時38歳の若さで社長に就任することになった。社長就任後は、必死に勉強した。様々な書籍を読み漁り、人に話を聞いて回り、その中で参考になった考え方をノートに書き溜めた。それが、「カテックスフィロソフィー」の原型となっている。これは、経営理念、行動規範、カテックスとしての考え方を128ページに渡って一冊にまとめたものだ。

Q.「カテックスフィロソフィー」とは?どのような理念、想いで事業を行っているのか?

当社では、「徳治経営」(徳のある経営)を重視しており、その中核となる考え方が「カテックスフィロソフィー」だ。その中に、「KATECS」で表される経営理念がある。「KATECS」は、K=Knowledge(知識・知恵)、A=Action(行動)、T=Technology(技術)、E=Environment(環境)、C=Contribution(貢献する)、S=Society(社会)の頭文字を表しており、「技術・知識・知恵・行動をもって環境に配慮しながら社会に貢献する集団」であることを理念として掲げている。

当社では、事業活動を通して、全社員の物心両面の幸せを追求し、お金だけでなく、自己実現や仕事のやりがいを大切にしている。そのために、社員のスキルを伸ばすことに力を入れており、「カテックス塾」や「土木塾」、「フィロソフィー研修」を開催するなど、社員教育に投資している。「カテックス塾」とは、工業製品に関する商品知識、図面、製法などを学ぶ場で、「土木塾」はトンネルの掘削工法や土木資材、地質の違いに最適な地盤改良方法などを学ぶ場である。「フィロソフィー研修」では、人間力を磨いてもらうために、私が講師として登壇し、社員に対して、働く意味、自分の存在意義、事業の意義や目的について伝えている。

また、「カテックスフィロソフィー」では、人生や仕事における成果や結果が何によって決まるのかを、「成果・結果=考え方(-100〜100)×熱意・努力(1〜100)×能力(1〜100)」という方程式で定義している。どんなに能力が高い人でも、熱意や努力が足りなければ大きな成果や結果を生み出すことができないし、更に、妬みや恨みなど、負の考えを持つと、成果がマイナスになってしまうという教えである。「カテックスフィロソフィー」は、稲盛和夫氏を始め、松下幸之助氏、安岡正篤氏らの影響を強く受けている。

更に、当社では、カテックス流のアメーバ経営を実践している。社内では、「カテックス・グローバル・マネジメントシステム(KGMS)」と呼んでいる。アメーバ経営と言っても、京セラのアメーバ経営とは中身が少し異なる。当社は、京セラのようなメーカーではないため、求める人物像、人事評価、管理会計のルールなどは、当社独自の考え方を取り入れている。

Q.どのような事業を行っているのか?

当社の事業は大きく2つある。一つは、「工業用品事業」であり、自動車メーカーをはじめ、工作機械メーカー、医薬品メーカー等、様々な会社で使われる工業用ゴムや樹脂製品などを販売しながら、製造現場の省力化・省エネ化・自動化等の製品提案を行っている。もう一つは、「土木資材事業」であり、トンネル・道路・ダム等の工事用資材を取り扱い、販売から開発・技術指導までを行っている。こちらは、ゼネコンが主要顧客となっている。

Q.これまでの会社の沿革の中で、貴社の成長に大きく寄与したターニングポイントは?

第一に、高シェアを誇る商材を確立できたことだ。以前、商社として取り扱っていた商材は、他社でも取り扱うことができるものであり、利益率が低かった。そこで、他社が取り扱っていない商材を探していた時に、一昔前に炭鉱で落石を防ぐために活用されていたウレタンの材料と出会った。これは、トンネル工事での活用が大きく見込める商材であり、メーカーとの共同研究によって、トンネル用の商材を開発することができた。今では、トンネルにおける補助工法の分野で、国内シェア60%を当社が占めるまでになった。

第二に、海外展開を始めたことだ。現在では、海外で11社の関連会社を有しているが、そもそも海外に進出したきっかけは、大手情報機器メーカーがイギリスへ進出する際に当社もそれに追随したことだった。進出先のイギリスでは、大手情報機器メーカーだけでなく、同業他社メーカーなどへの新規の取引先を開拓することができ、販路の拡大に寄与した。

Q.直近の海外事業の状況は?

1993年からアジア方面への進出に乗り出した。2012年には、インドネシアに現地法人の工場を新設し、自動車メーカー向けの新商品を生産する体制に整え、2017年8月現在、海外子会社は11社にまで成長してきた。また、最近では、「JICA(独立行政法人国際協力機構)」と共同で、ベトナムのトンネル調査を実施している。ベトナムでは、ゼネコンによって技術力の差が大きく、トンネルの規格も統一されていなかった。そのため、老朽化しているトンネルのメンテナンスをJICAより依頼されることになった。それがきっかけとなり、将来的にはアジアのインフラ事業の足がかりにしていきたいと考えている。

Q.事業面での強みは?

第一に、「工業用品事業」と「土木資材事業」という2つの柱を持っていること。工業用品は、自動車部品、家電、医療などの民需を取り込んでいる。一方、土木資材は、公共工事など官需を取り込んでいる。このように、当社は、民需と官需の双方に対応しており、不況に強い事業ポートフォリオを確立している。

第二に、「メーカー機能を内蔵した商社」として、お客様のご要望に応じた製品を設計から量産までワンストップで提供できること。カテックスは商社だが、国内外のグループ企業14社のうち9社が製造メーカーで、各種製品の製造工場を持っている。また、品質管理や品質保証などの技術専門家が多く在籍し、技術に関する特許をたくさん取得していることも、一般的な商社とは一線を画している。

第三に、商社として単に右から左に商材を流すだけでなく、工場設備の設計を支援していること。工具通販サイトの「MonotaRo(モノタロウ)」や「ミスミの通販サイト」が台頭しているが、このような環境下において、商社として単なる仲卸をやっているだけでは衰退の一途を辿ることになる。そこで、工場の設備設計の支援に注力し始めている。当社は、取り扱う商材を工場に提案する際に、納品先の工場を視察しながら提案活動を行っているのだが、その際に工場の現場スタッフからお困りごとを耳にすることが増えてきた。これは、当社からすると貴重な情報であり、現場スタッフが直面している課題を解決できるような、工場設備の設計も含めた提案し、より付加価値の高い案件を受注することにつながっている。このように、総合的に工場設備に関する相談を受けられる会社として、一番先に指名を受けられる会社になることが今後の目標だ。

Q.今後のビジョンは?

2017年から新しい3ヶ年計画に沿って動いている。2014~2016年までの3ヶ年計画のテーマは、「真のグローバルサプライヤーへ(カテックス・グループの連携強化」だった。これは、本社勤めの社員が海外工場で何を作っているか把握していないような状況を解消したいと考えたからだ。そして、2017~2019年のテーマは、「む世界を変える」ことだ。AIを搭載したロボットが労働力として普及していく中で、当社がこれまで手がけてきた事業ドメインを今一度見直す必要があると考えている。当社の特異性を生かし、ブルーオーシャンの領域を見定め、新商品の開発に力を注ぎ、市場を広げていきたい。

Q.今後の課題は?

子会社に製造メーカーを多く抱えているが、ものづくりに長けた人材が足りていない。また、グループ会社14社のマネジメントを担う人材も必要だ。そのための人材育成が遅れている。私は、企業の成長は人の成長なくしてはできないと考えており、海外展開するほど、その重要性を認識するようになった。最大の経営課題は、人材育成だと痛感している。当社は企業規模の割に、教育に多大な時間とお金を投資している。資格制度や資格手当なども用意されており、向上心のある方であれば、勉強する機会は多く用意されている。

Q.求める人物像は?当社で働く魅力は?

何事にもチャレンジしてみたいという人材を採用していきたい。当社は、国内に留まらず、海外でも仕事ができる。また、多くのグループ会社を有しているため、マネジメントを経験したいという意欲があれば、活躍できる機会も多い。

また、当社では社員のグレード別に、期待する役割や成果を定めている。縦軸にG1~G7を設け、横軸にクラスを設けている。グレードは給与と連動しているが、役職は給料と連動していない。そのため、役職や年齢に関係なく、成果を残せばグレードが上がり、連動して給与も上がる仕組みとなっている。

一方で、フィロソフィーの習得度も評価の対象になっており、感謝の気持ちや謙虚さ、利他の心を持つことを求めている。また、各グレードで求められる条件が7項目明文化されており、1つ上のグレードで求められていることができると判断された時点で昇格が認められる。グレードには、飛び級もあるため、向上心のある人にはチャレンジングな環境だろう。

会社概要

会社名株式会社カテックス
事業内容・工業用ゴム・樹脂製品の販売・製品開発
・土木用土木資材の販売・製品開発・技術指導
代表者名加藤 巳千彦
代表プロフィール昭和37年1月28日生まれ
青山学院大学経営学部卒業後、三ツ星ベルト(株)に入社し5年間勤務後、加藤徳商事(株)(現(株)カテックス)に入社。その後、英国のグループ会社であるGKKに出向し会社、5年間勤務後、ベトナムのグループ会社であるKTC(VIETNAM)で2年間(会社設立準備~安定操業)勤務後、1996年10月より(株)カテックス 工業用品事業部長、2000年8月より代表取締役で現在に至る
沿革昭和9年 名古屋市中区において初代社長加藤徳蔵が加藤徳蔵商店を創業
昭和41年 資本金600万円にて加藤徳商事株式会社を設立
昭和49年 土木資材の販売を開始
平成5年 KATECS SINGAPOREを設立
平成8年 KTC VIETNAMを設立
平成12年 KATECS HONG KONGを設立
平成13年 KTC ASIAを設立
平成14年 KATECS ASIA SDN BHD.を設
平成16年 KTC HANOIを設立
平成24年 PT.TAIYO KATECS INDONESIAを設立
本社所在地〒460-8331
愛知県名古屋市中区上前津一丁目3番3号
URLhttp://katecs.jp/