大学向けシステムで成長、若手が活躍する仙台のIT企業

株式会社SRA東北 代表取締役社長 阿部 嘉男 様

Q.社長就任に至った経緯は?

当社は、東証一部に上場するソフトウェア企業グループであるSRAホールディングスの傘下である(株)SRAの100%子会社である。SRAグループは今年で50周年を迎え、独立系ソフトウェア企業としては日本で3番目に歴史が古い。創業者が宮城出身ということもあり、1986年に当社が設立された。

私自身は6番目の社員として入社した。それ以前は、漁師をやっていたが、これからの時代はコンピュータが最先端になるだろうと考え、IT業界へとキャリアチェンジした。コンピュータ系の専門学校でITを勉強し、講師を経て、1987年に当社に入社した。当社では、プログラマ、SE、リーダー、マネージャーを一通り経験し、2010年に代表に就任した。

以前は、主要顧客である電力系システム会社との取引が売上全体の70%を占めていたが、特定の顧客に収益の大部分を依存している状況はリスクが高いと考え、次の事業の柱を創るために、2005年頃、大学向けのパッケージ製品の開発、販売に着手した。現在この製品は全国の大学に導入され、当社の主力事業の一つになっている。

Q.どのような顧客に、どのようなサービスを提供しているか?

一つは、電力関連の業務システム開発を受託しており、これが安定収益になっている。具体的には、配電、発変電、料金体系などに関するシステムである。

二つ目は、大学向けのパッケージ製品を提供している。国が大学に補助金の支給を検討する上で、大学の評価を行う必要があるのだが、第三者機関がその評価に必要な書類や情報を効率よく管理できるようにするためのシステムである。地元優良大学からそのようなシステム開発の依頼を受けたことがきっかけとなり、現在では全国57大学に導入されている。

パッケージと言っても実際には大学ごとにカスタマイズ開発を行っている。また、サーバやネットワークの構築、シングルサインオンのアクセス管理なども含めて、周辺サービスへの広がりが大きいのが、この事業の特徴である。

大学向けのマーケティング・営業方法は、ダイレクトメール、WEBサイト、年一回の自社主催の“フォーラム”などがある。今年で6回目の開催だが、昨年は60以上の大学・機関に参加して頂いた。

三つ目は、地元の企業向けのシステム開発・運用を提供している。お客様の業種としては、銀行、大手小売業、水産加工会社、建築会社、葬儀会社など、多岐に渡っている。

2016年度は、売上、利益ともに過去最高を記録した。売上は12.7億円、このうち電力系が4.6億円、文教系(大学)向けが3.3億円を占めている。

Q.どのような理念・想いで事業をやっているのか?

「進化」と「チャレンジ」を大切にしている。この業界は変化が激しいため、自分自身が進化しなければ、すぐに淘汰される。お客様から信頼と笑顔の輪を広げていくために、「進化」と「チャレンジ」は不可欠だ。

今後、AIやロボットは当たり前になる。大切なのはそれをどのように使うのかだ。現在、某医療機関の依頼でPepperを利用したシステムを開発している。

ITの市場規模に占める比率は、関東地方が60%であるのに対して、東北地方は2.3%、宮城県は1.5%しかない。従って、地方のIT企業として生き残るためには、全国に通用する武器をどれだけ作れるかがカギとなる。そのためにも、最先端のテクノロジーやトレンドに乗っていくことが大切だと考えている。

Q.事業面の強みは?

電力系会社や銀行のシステム開発を受託し安定収益を確保していること、加えて、自社の武器と言える大学向けパッケージ・システム事業によって攻めの事業展開を行っていること、この2つを実現できていることは強みと言える。2011年の東日本大震災の後、2~3年ほど業績が悪化したが、この頃には、大学向けのパッケージ事業が拡大していたので、赤字にはならなかった。

二つ目は、アフターサポートに力を入れていることだ。システムを導入した後の、保守契約を含めて、お客様とは長いお付き合いをしている。不具合があれば即駆け付けるなどの、スピード感を持った対応を製販一体で心掛けている。大学向けには要望に応じて、アクセス解析を行い、解析結果のレポートを提出するサービスも展開している。このような小回りの利くアフターサポートは、当社の強みになっている。

三つ目は、LDAPなどの認証基盤構築、Linuxなどのオープンソースを使ったサーバ構築力等に強みを持っていることだ。

四つ目は、AI・ロボットの研究開発に早い段階から取り組み、ノウハウを蓄積しつつあることだ。当社のスピードの速さが十分活かせている。近年は試験的な取り組みとして、ウェブサイトにAIを組み込み「s a r à」(チャットボット)や「勝手に仙台応援サイト SENTOKO」を立ち上げた。

Q.組織面・人材面の強みは?

30~40代の若いマネージャーが多いことは強みだ。当社では、成果を上げることができる社員を引き上げていく。社員数は90名程度だが、このうちの90%はシステム開発を行うエンジニアである。当社では、技術に詳しく、かつ、コミュニケーション力が高い人ほど、良い成果を上げることができている。

また、社員同士が自主的に勉強会を開催し、最先端の技術について学ぶような取り組みを行っている。このような企業風土が醸成されている点も強みである。

Q.今後のビジョンは?

「東北のIT企業と言えば、SRA東北」と言われるようになりたい。あの会社で何か面白いことをやっているらしいと思われるようなチャレンジを仕掛けていきたい。そのためにチャレンジ精神溢れるエンジニアを採用していきたい。

会社概要

会社名株式会社SRA東北
事業内容・ソフトウェア開発・販売
・パッケージ開発・販売
・サーバ/ネットワーク構築
・システム運用・保守
代表者名阿部 嘉男
代表プロフィール宮城県石巻市出身。1958年生まれ。1984年、東北電子専門学校電子計算機課高等科を卒業後、同校へ教員として就職、教鞭に立つ。1987年、同校を退職し、株式会社東北SRA入社(現 株式会社SRA東北)。2006年、株式会社SRA東北・執行役員ソリューション事業部長へ就任。2009年、株式会社SRA東北・常務取締役へ就任。2010年、株式会社SRA東北・代表取締役社長へ就任。 
沿革1986年 仙台市青葉区にて「株式会社東北SRA」として設立
1991年 「株式会社SRA東北」に変更
1996年 「やまびこインターネット」サービス開始
2005年 大学評価データベースシステム「DB-Spiral」販売開始
2015年 AI、ロボットへの取り組み開始
2015年 Pepper、Sota、ロボホンを導入
2015年 IBM Watson エコパートナー契約締結
2017年 Pepperロボアプリパートナー(Basic)認定
本社所在地〒980-0803
宮城県仙台市青葉区国分町3-1-2 アーバンネット定禅寺ビル5F
URLhttps://www.sra-tohoku.co.jp/