海外への販路拡大を進める船舶用ラッシング資材メーカー

港製器工業株式会社 代表取締役社長 岡室 昇志 様

Q.社長就任までの経緯は?

前職は三洋電機で、SEとしてソフト開発に携わっていた。29歳の時に、父に呼び戻され、当社に入社した。入社後、様々な部署を経験し、2008年に45歳で、2代目の社長に就任した。

Q.事業内容、事業展開の状況は?

主力事業は、「船舶用ラッシング資材事業」で、海上コンテナ、自動車、材木などの貨物を海上輸送する際、貨物を船に固縛する為の資材を製造し、造船所や海運業者に販売している。主要顧客としては、「今治造船」、「川崎汽船」、「エバーグリーン(台湾企業)」、「商船三井フェリー」、「川崎近海汽船」などが挙げられる。

このような有力企業と取引できているのは、当社が約40年間で培った業界知識やノウハウをもとに、高品質な製品を提供できているからだ。また、20〜30%は海外企業への販売であり、台湾、シンガポール、ヨーロッパ、韓国、香港、インドなどに販売している。

同業者は世界で4社しかおらず、日本では当社のみだ。当社が生き残ることができたのは、圧倒的な開発力により、軽量化や効率性、安全性など常に時代の先端を見据え、進化し続けてきたからだ。

その他、同様のノウハウや技術力を生かした事業を展開している。「仮設建材事業」では、鉄骨造のビルの柱を建設する際に柱同士のズレを調整し固定する機具を製造している。自社ブランドとして「ATOMU」を開発し、ゼネコンにリースで提供している。同業他社は3社いるが、当社は20〜30%のシェアを占めている。

また、「開発設計事業」では、当社のコンテナを縛る技術力・提案力・実績が評価され、お客様のご要望に合わせて、カスタマイズによる開発・設計を手掛けている。当社では、開発段階から参画することで、他社との価格競争に巻き込まれずにお客様と長年にわたり取引できるようにしている。

Q.どのような理念・想いで事業をやっているのか?

「イメージをスピード実現する達人として、共に未来を創ります。」を経営理念に掲げており、お客様が持っているイメージを忠実に製品へ落とし込むことを大切にしている。当社は、単なる製造メーカーではなく、製造のコーディネーターであり、お客様の要望を最適な形で実現できるよう、500社の協力会社とのネットワークを構築し、彼らの力を活用しながら製品の開発を進めている。

Q.組織・人材面における強みは?

第一に、人材を大切にしており、定年退職した方を当社で再雇用したり、顧問として在籍いただいていること。これにより、彼らに蓄積されている経験・ノウハウを若い世代へ伝承していただけるよう、知識の循環がうまく機能している。

第二に、設計・開発領域において、外部の力を積極活用していること。事実、「船舶用ラッシング資材事業」の開発は、長年にわたり、造船所のエンジニア出身の外部の専門家に協力して頂いている。

第三に、組織横断的な様々なプロジェクトを立ち上げ、やる気がある社員に任せていること。船舶関係の商品開発、新卒採用など、多岐にわたるプロジェクトが社員主導で進められている。

Q.市場環境の変化にどのように対応していくのか?

海外を含めて造船市場は縮小しつつある。現在、世界の造船所の90%以上が東アジアに集中しており、またものづくりの主戦場は中国だ。中国をはじめとする海外の販路開拓が急務であり、新商品を武器に新規顧客を開拓していきたい。

Q.今後の課題は?

社員が成長できる環境を作っていくことが重要だ。そのために、事業を任せられる人材の育成に力を入れていく。現在当社が手がけている7つの事業それぞれに戦略リーダー(BSUリーダー)を抜擢し、今期の販売・営業戦略を企画し提案させている。

また、現在進めている中期経営計画では、利益率の向上、体制の強化を掲げている。そのために、自社製品や自社で設計・開発したクライアント製品の案件獲得を増やしていくこと、これまで属人的だった業務を標準化し組織力の強化を図ることに注力している。

Q.求める人物像は?

何事にも素直で向上心があり、自ら率先して行動できる人を採用したい。その上で、プラスワンに挑戦してもらいたい。言われたことだけを行うのではなく、言われた以上のことをプラスして行うことで、達人となってもらいたい。

会社概要

会社名港製器工業株式会社
事業内容・船舶用ラッシング資材事業
・仮設建材事業
・環境エネルギー事業
・物流機器事業
・建築・ブレース事業
・住設事業
・開発設計・製造事業
代表者名岡室 昇志
代表プロフィール1964年生まれ。大学卒業後、三洋電機でSEとしてソフト開発に携わる。その後、29歳の時に港製器工業株式会社へ入社。2008年に45歳で、2代目代表取締役社長へ就任。座右の銘は「継続は力なり」
沿革1957年 初代社長 岡室昇之眞が大阪市港区南市岡に港鍛工所を創業。
1972年 港製器工業株式会社に商号変更。
2007年 フェウッド(木造耐震ブレース工法)で国土交通大臣認定を取得。
2013年 大洋製器工業株式会社からコンテナラッシング部門を営業譲渡。
2013年 中国での販売を事業目的とする常州太優港貿易有限公司を常州(中国)に設立。
2013年 外構工事を事業目的とする株式会社ライフアップを株式取得により子会社化。
2014年 エクステリア施工を事業目的とする株式会社アンフィニを設立
本社所在地〒569-8588
大阪府高槻市唐崎中3-20-7
URLhttp://www.minatoseiki.co.jp/