マーケティングの自動化・効率化、国内トップシェアの上場企業

株式会社ロックオン 代表取締役社長 岩田 進 様

Q.これまでどのような人生を歩んできたのか?

私は将来、「世界で活躍する人間になる」ことを目指し、大学へ入学した。しかし、大学の授業に将来性を感じず、入学後2週間で休学することに。休学後3ヶ月で100万円の資金を貯め、世界を見て回るバックパックの旅に出た。海外生活での収穫は多かったが、バックパックを続けることよりも、仕事を通じてスキルを高めることの方が「世界で活躍する人間」になる近道だと感じ、帰国して飲食店の経営、旅行ビジネスの立ち上げを行ったが、いずれも失敗した。このような2度の起業経験を経て、2001年に当社を設立した。

Q.どのような理念・想いで事業をやっているのか?

当社では「Impact On The World」を経営理念として掲げており、世界に対して価値貢献していくことを使命としている。この理念を掲げるに至った背景には、私の海外でのバックパック生活が大きく関わっている。世界を放浪していても観光客としての価値しか提供できず、お金以外に何も与えることができない無力さを味わった。その時に、世界に対して手を差し伸べられる存在になりたいと思うようになり、そのためには、まずは母国の日本で価値貢献し、その輪を世界に広げていきたいと考えるようになった。

Q.現在の事業内容、事業展開の状況は?

当社は、アドテクノロジーとECサイト構築において2つの自社製品を開発し、提供している。前者はログデータを活用し、仮説立て・予算最適化・検証などのマーケティングパフォーマンスを最大化するマーケティングプラットフォーム「AD EBiS(アドエビス)」である。同サービスは、現在導入企業8000社を超え、あらゆる企業規模で国内トップクラスの導入率を誇る。ユーザーはネット企業に限らず、不動産や人材ビジネス、金融など、ウェブ上で何らかの成果を求めるあらゆる業種の企業にご利用頂いている。後者は低コストでカスタマイズ性の高いECサイトの構築ができるECオープンプラットフォーム「EC-CUBE(イーシーキューブ)」である。こちらも国内No.1シェアを獲得しており、推定30000店舗以上で稼働している。

アドテクノロジーに関わるプレーヤーは大きく、「メディア」、「エージェンシー」、「テクノロジーベンダー」の3つの分野に分類される。メディアやエージェンシーと異なり、中立的な立場で事業を行うテクノロジーベンダーは、実は少ない。この分野で堅実に事業を展開し、上場している企業は、今のところ当社しかない。

Q.競争優位性はどこにあるのか?

現在では当たり前となっているアドテクノロジーのコンセプトをいち早く製品に落とし込み、顧客に提供したことが当社の価値だと考えている。2001年当時は、インターネット広告さえもあまり出回っていない黎明期だったが、その時から私はアドテクノロジーの出現を唱えていた。そして、インターネットが普及するとユーザーひとりひとりに合わせたパーソナライズ化が鍵になると考え、2004年に「AD EBiS」の原型となる「EBiS」をリリースした。

その当時より、「EBiS」という月額1万円から利用できるライトなトラッキングシステムを普及させ、システムに蓄積されたデータの利活用に繋げていきたいという意図があった。このように市場の黎明期から長年データの蓄積を追求してきたことが、当社の競争優位性となっており、これは簡単に真似できるようなものではない。

これまでに蓄積してきたビッグデータは、デジタルマーケティングの最適化など、様々な分野で活用することができる。例えば、データを活用してユーザーの嗜好性を分析し、ユーザーひとりひとりに最適化された精緻なコミュニケーションを設計することや、新製品開発などに役立てることができる。

Q.経営者として心掛けていることは?

競争せずに圧倒的No.1のポジションを確立することを心掛けている。ビジネスでは、競争を始めた時点で負け戦となる。1社でも競合が存在すると、顧客から比較されるようになり、その結果、高品質な製品を安く提供しなければならず、利益が出ない構造になってしまうからだ。そのため、当社が常に時代の先を読み、圧倒的なNo.1もしくはオンリーワンを追求し、競争を避けてきた。グローバル化、フラット化する社会で勝つためには、まずは圧倒的1番になれる分野で突き抜けること。世界展開するのはそれからだ。

また、人とは違う価値創造(アウトプット)を行うためには、人とは違うインプットをすることが大事だと考えている。そのため、多くの人が見ているテレビなどのマスメディアからの情報を極力シャットアウトしてきた。また、自らが身を置く土地柄から得られるインプットも、アウトプットに大きく影響すると考えているため、多くのIT企業が東京に集中しているが、創業の地、関西のルーツを大切に、事業展開を進めていきたいと考えている。

加えて、当社の世界観として、日本古来の「和を以て貴しとなす」という精神を大切にしている。つまり、当社による1社独占ではなく、関わる人々がみな良くなるようにしていこうと考えている。

Q.今後のビジョンは?

2020年までに売上30億円という目標を掲げており、それまでは国内に集中していきたい。2014年にマザーズ上場を果たしたが、シリコンバレーの世界的なベンチャーの資金調達の規模感からすれば、シリーズAかBのステージに過ぎないと捉えている。世界で戦っていくためには、100億円程度の資金調達を行い、社員数も300名程度まで拡大していかないといけない。

当社は「マーケティング・ロボット・カンパニー」を目指している。マーケティング活動をテクノロジーで支援し、データを貯め、分析し、自動化していく。これまで蓄積してきたデータを、分析や自動化に展開できる状態になってきたので、今後はその分野での進化を目指していきたい。とはいえ、単体でできることは限られているので、AIやマーケティングシステム開発企業等の外部企業との連携も広げていきたい。

Q.参考にしている海外の企業は?

アメリカなど世界と比べると、日本のソフトウェア企業は規模が小さく、まだまだ成長の余地がたくさんある。当社では、売上100~300億円規模でサブスクリプション型のビジネスモデルを確立している海外のソフトウェア企業のIRをみて、研究している。そのような企業を研究し、顧客の生涯価値から考え、長期的な視点に立って利益が上がる戦略を構築することの重要性を学んだ。

Q.今後の課題は?

組織のレベルアップが何よりも重要だ。具体的には、人材採用、教育、評価、報酬という一連のサイクルのレベルアップを図っていく必要がある。優秀な人が働きがいや目標を持って働ける環境づくりに努めていきたい。理念やビジョンなどの大義も含めて、優秀な人材を惹きつけられるような組織を目指したい。

Q.求める人物像は?当社で働く魅力や価値は?

社会人として高い志を持ち、一流を目指す人にぜひ入社して頂きたい。大前提として、会社の理念である「会社を通じて世界に対してインパクトを与えていくこと」に共感していただけることは必須条件である。また、組織である以上、社内の人間関係はとても大切であり、一緒にいてしっくりくるかどうかも重要な要素だと考えている。

当社は、まだ組織としては小さいものの、毎年20%ずつ急成長しているので、新しいポジションが次々と生まれている。やる気のある人、能力の高い人には積極的にチャンスを与えており、明確な志を持つ方にとっては自己実現ができる、チャレンジングな環境がある。

会社概要

会社名株式会社ロックオン
事業内容マーケティング ロボットの提供
 ・マーケティングプラットフォーム「アドエビス」「THREe」
 ・商流プラットフォーム 「EC-CUBE」
 ・ビッグデータの分析及び最適化「マーケティングメトリックス研究所」
代表者名岩田 進
代表プロフィール1977年大阪府生まれ。1997年関西学院大学を休学し、バックパッカーで東南アジア、北米を旅する。1998年の飲食店経営、2000年に旅行ビジネスでの起業を経て、2001年有限会社ロックオンを設立し、代表取締役へ就任。2003年、関西学院大学商学部卒業。
沿革2000年 岩田進が関西学院大学商学部在籍中に、兵庫県尼崎市の自宅一室にて創業
2001年 有限会社ロックオンを設立。EC事業を拡大
2004年 試作品である「Web Marketing Tool Kit」の機能拡張を行い当初はブランド名「EBiS」として発売開始
2006年 日本発ECオープンプラットフォーム『EC-CUBE』リリース
2010年 シリコンバレーに、100%出資子会社となるLOCKON marketing of U.S.A. inc.を設立
2013年 現地法人ベトナム子会社 LOCKON Vietnam Co., Ltd. を設立
2013年 海外EC市場に向け、EC-CUBEが初の多言語対応版をリリース
2014年 東京証券取引所マザーズ市場へ上場
本社所在地〒530-0001
大阪府大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー13F
URLhttp://www.lockon.co.jp/