手作りおかず冷凍食品をお届け、食材宅配サービス会社

株式会社ファミリーネットワークシステムズ 代表取締役社長 堀田 茂 様

Q.起業に至るまでの経緯は?

当社は1988年に私が創業した会社だ。起業に至るまでの経緯は、中学生の頃から始めた酒屋でのアルバイトに由来する。当初はアルバイトとして酒屋で働いていたが、そのまま就職することに決め、18歳から23歳までの5年間で業績拡大に取り組み従業員二人を採用、その後、大阪市港区弁天町駅まで居酒屋を任せられることになった。23歳から26歳まで居酒屋の店長を担当し、「旬の食材を使った創作メニューを手作り」が当たり大繁盛となった。26歳に転機が訪れ、大手外食チェーンの社長から引き抜きの話をいただいたが、お断わりして開業投資資金が少ないお酒お米の宅配専門店で独立開業することにした。

Q.起業から今日に至るまでの沿革は?

1988年に独立した当時は、9坪の店舗を1680万円で購入した。宅配専門の酒屋として開業したのだが、米も合わせて販売したところ、創業3年目に1億8000万円を売り上げた。当時の酒屋さんの平均年商が4000万円、「たった3坪で1億8千万円」と見出しの業界新聞等の記事を見て、全国から視察が来るほどに話題となった。理由は、業界ではブレンド米が主流の時代に、新潟コシヒカリや秋田こまちを販売し、日本酒では、灘・伏見の大手メーカーが一般的なところに、新潟の地酒を販売したことだ。

販売見学や問い合わせをされた酒販店と共同仕入れの組織を立ち上げ、その後、大手ビールメーカーさんから勧められたことで、フランチャイズ本部として1999年に株式会社ファミリーネットワークシステムズを設立し、その頃の店舗数は、268店舗にまで拡大していた。当時、酒・米の販売を主軸にしていたが、2003年の酒小売免許自由化の影響から酒の売上が一気に減少客離れが起こったために、コンビニやスーパーでは売られていない地域名産品を主体とした食品宅配事業へとシフトしていった。

Q.現在の事業内容、事業展開の状況は?

当社は、高齢で外出が増え、献立を考える・買い物に行く・料理を作る時間が無い働く主婦、出産前後のママ、など買物に不便を感じている方に向け、簡単に作れて美味しくて健康的な冷凍惣菜を販売する食材宅配事業「わんまいる」というブランドネームで、全国100か所の地域パートナーを拠点とした御用聞き宅配サービスを高齢者向けに、自社サイトも含めた大手モールへも出店した通販事業を展開している。宅配供給高は約10億円である。

当社は毎週2万5000名のお客様との取引している。主な顧客層は、60〜70代が1.5万名、40〜50代が1万名となっている。そのうち、2500名のお客様は毎週1回、5食分をウェブから定期購入いただいている。当社が提供している冷凍食品は、随時約400アイテム程品揃えしており、おかずセットメニューも合わせると毎週25〜30アイテム程を入れ替え、飽きさせないように工夫している。

Q.事業面での強みは?

一つは、商品力も含めた独自のポジショニングだ。当社では合成保存料や合成着色料を使わない調理を徹底しており、また、冷凍食品販売において一人前用の真空パック販売を手掛けている。

二つ目は、マーケティング力だ。毎週2万名のお客様と取引しているため、消費者ニーズやトレンドの変化を即座に察知することが可能だ。そこで、販売するだけではなく、農家や漁協畜産業者といった生産者から直接仕入れた製造に着手し、栄養価の高い旬の食材を使った手作りおかずセットを販売し始めたところ大ヒットし、昨年「日経DUAL」が実施した全国宅食ランキングでは2位に選ばれ、味と品質では1位と高い評価を得た。また、5000名を超えるブロガーとも提携しており、宅食比較ランキングなどウェブサイトでは常に上位ランクと高い評価を得ている。

三つ目は、独立以来29年間、全国を巡り、隠れた名産品を発掘、クリエイトした商品開発を行い、これまでにも日本酒に金箔を入れた金箔酒や高級梅干しの傷物をつぶれ梅として売り出す等、地方のメーカー、自治体と提携してご当地グルメを開発多くのヒット商品を開発して来たトレンドを先読みした商品開発力だ。

Q.今後のビジョンは?

現在は、空前の和食ブームであるため、世界に向けても事業を拡大していきたい。現在、自社工場の建設を計画している。これまでは、手作業で真空パックに詰めていた作業をロボット化し、業務効率を高めていきたい。また、IPO(株式公開)も目指している。

Q.IPOの実現に向けた施策は?

第一に、宅配事業の比率を抑え、通販事業を伸ばしていきたい。通販事業は、本社サイトと「楽天・ヤフー・アマゾン」で行っているが、モールでのコンバージョン率も高く、高齢化と夫婦共働きの増加により、市場が急成長していると考えている。

第二に、地域の隠れた名産品をクリエイトした「匠の絶品グルメ」を新たに立ち上げることだ。例えば、例えば、全国各地域のご当地ブランドポークを使った手づくりハンバーグなど。

第三に、ギフト事業にも力を入れていきたい。特に、お食い初めや還暦祝い等、用途別に商品開発を行い個人ギフトに注力する。

第四に、節分や土用の丑など節句食や行事食の開発に取り組み、内食需要拡大に合わせて提案していく。

Q.今後の課題は?

当面の課題は、経営の引き継ぎだ。私は65歳で社長を交代することに決めており、現在56歳なので、残り9年間で経営を誰に、どのように引き継いでいくかは課題である。65歳で引退した後は、地方創生、食産業の振興に取り組み、全国各地域を訪問、商品は素晴らしいが売り方が下手なメーカーや少し手を加えるだけで人気が出る商品の発掘や開発に注力していきたいと考えている。

会社概要

会社名株式会社ファミリーネットワークシステムズ
事業内容簡単でおいしく健康的な旬の手作りおかず冷凍食品の個人向け宅配事業、ヘルスケア関連事業者への販売
代表者名堀田 茂
代表プロフィール10年間の酒販店修行を経て、1988年に大阪市西淀川区で9坪の建売住宅を購入し、ガレージ3坪をお店に改装して、それまでの御用聞き経験を生かし「宅配専門店ホッタ」を開業。1999年に株式会社ファミリーネットワークシステムズ設立、代表取締役社長に就任。
沿革昭和63年 宅配専門店ホッタ開業
平成11年 株式会社ファミリーネットワークシステムズ設立。大阪・京都・滋賀・神奈川にて展開。
平成12年 日本で初めて酒類・米穀・飲料販売の宅配チェーン(組織小売業)として大手メーカー(ビール4社)などがFNSをチェーン登録
平成17年 総合宅配事業「わんまいる」スタート
平成25年 通販事業スタート、ヤマト運輸の宅急便で全国へのお届け開始
平成29年 大手通販モール 楽天・Yahoo・Amazon での展開開始
本社所在地〒530-0051
大阪府大阪市北区太融寺町8-8 日進ビル
URLhttp://www.onemile.jp/