「伝統」と「革新」を追求する創業200年の老舗菓子メーカー
株式会社あみだ池大黒 代表取締役社長 小林 昌平 様
Q.社長就任までの経緯は?
2006年、30歳になる年に、取締役として入社した。主力商品のおこしの売上が1990年をピークに年々減少しており、何とかしなければ生き残っていけないという経営者としての強い責任感を持っていた。入社して半年経った頃、品質管理の責任者を任せられることになった。2007年から食品偽装問題が大きく取り沙汰されたため、食品衛生管理プログラム「HACCP」の取得に向けて動いた。2010年からは人事も兼務し、新卒採用を開始した。2011年には、おこしの新ブランド「pon pon Ja pon」を立ち上げ、1号店を髙島屋大阪店にオープンした。そのような経験を経て、2016年に7代目社長に就任した。
Q.事業内容、事業の展開の状況は?
1805年の創業以来、大阪名物「おこし」を中心に、和菓子・洋菓子を製造、販売している。おこしメーカーとして200年以上続く老舗だが、2011年にはおこしを洋菓子風にアレンジした「pon pon Ja pon」を開発するなど、「大阪のテッパン土産」を生み出したいと考えている。主な販売チャネルは、「直営店・百貨店」、「駅・空港・サービスエリア」、「テーマパーク」の3つだ。お客様は女性が多く、年齢層としては40〜60代以上の方が多い。
Q.どのような理念・想いで事業をやっているのか?
入社直後は、営業活動を強化して売上を上げようとした。しかしながら、想像通りには進まず、商品の品質向上に目を向けるようになった。それまでのおこしづくりは、職人の経験と勘に頼っており、品質管理の仕組み化ができていなかったからだ。そこで、「HACCP」という食品衛生管理プログラムを取得することにした。菓子・パン製造施設として第一号の兵庫県食品衛生管理プログラムの認定を受けたことで、品質が向上し、商品ごとのばらつきが目立たなくなってきた。
それから、売れる商品づくりに注力し、「pon pon Ja pon」や「マシュー&クリスピー」などの新商品を開発した。大阪の手土産といえば、当社の「岩おこし」や「粟おこし」が名前に挙がっていた時代もあったが、近年はそう言われなくなっている。当社は大阪で創業し200年以上経つのだが、大阪を代表するテッパンの手土産を再び生み出し、この地域を盛り上げていきたい。
Q.事業面の特徴、強みは?
菓子メーカーとしての特徴は、自宅用ではなく、手土産商品として誰かに差し上げ、喜んでもらえる商品を作っていることだ。また、手土産商品の販売力がある百貨店、空港・駅・サービスエリア、テーマパークなど、多様な販売チャネルを網羅していること、また、「あみだ池大黒=大阪で200年以上続く老舗のおこしメーカー」であることが、大阪府民に広く知られていることは、当社の強みだと考えている。
Q.「pon pon Ja pon」などの新商品開発はどのように行ったのか?
当社が出店していた百貨店の改装が、新商品開発のきっかけになった。その際、これまで通り「あみだ池大黒」ブランドで出店するか、新ブランドを立ち上げるのか決断を迫られた。私は、徹底的にお客様の要望に応えるための新しい商品を開発したいと思い、新ブランドを立ち上げる決断をした。新商品開発に当たっては、従来の固定概念を取り除くための社内調整に苦労したが、百貨店のバイヤーからも意見をもらいながら、2年がかりで新商品を開発することができた。
Q.新商品を開発したことによる成果は?
積極的に新商品開発を手がけたことで、「あみだ池大黒が、新しい挑戦をしている」ということをお客様や取引先に認知していただけたことは大きな成果だ。また、それまでは、社内でも若い女性向けの商品開発に疑心暗鬼な声が多かったが、発売後の好評を受け、「今まで以上に”かわいさ”を追求した商品開発を行っていこう!」という機運が高まっている。
Q.組織面での強みは?
営業と商品開発の両方を担える人材が豊富にいることは、当社の強みだろう。一般的な菓子メーカーでは、商品企画と営業は、担当が分かれていることが多い。しかしながら、当社では、「直営店・百貨店」、「駅・空港・サービスエリア」、「テーマパーク」などの販売ルートごとに置かれた営業担当者が、商品開発も担っている。これは、販売ルートごとにお客様の属性やニーズが異なるためであり、それを踏まえた商品開発を行うためである。
Q.今後の課題は?
「大阪のお土産といえば、あみだ池大黒」と言われる存在になりたい。京都や神戸にも負けない大阪名物となるようなお菓子を作っていきたい。そのためには、商品の企画力を高めるための人材育成が課題となる。商品企画力を高めるためには、感性と知識の両方が必要であり、そのためには、営業現場と製造現場の両方を経験させ、営業でお客様の求めていることを知り、工場で何が作れるのかを把握しておくことが重要だ。その上で、トライ&エラーを繰り返し、「岩おこし」、「粟おこし」に次ぐ新たな名物商品を開発していきたい。その一方で、伝統的なおこしについても、更に磨きをかけていきたい。より上質なおこしとしてブランディングと商品開発を進めていきたい。
Q.求める人物像は?
自ら目標を設定し、目標達成に向けて努力できる人を求めている。商品企画においては、成果が出るまでに膨大な時間がかかってしまうが、すぐに成果が現れなくても、諦めずに努力できるような人を採用したい。
Q.当社で働く魅力は?
まずは、大阪を盛り上げるために一緒に働くことができること。また、社員一人が担当する業務の幅が広く、その分会社に与えるインパクトが大きいことは、遣り甲斐につながると思う。実際に、自らの商品企画によって、会社の売上を大幅に伸ばせられるような可能性は大いにある。更に、社員同士の距離が近く、風通しの良い社風であることも、当社の魅力ではないか。
会社概要
会社名 | 株式会社あみだ池大黒 |
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事業内容 | 和菓子、洋菓子の製造および、販売 |
代表者名 | 小林 昌平 |
代表プロフィール | 1976年生まれ。1999年に大学卒業後、オリックス株式会社で7年勤務し企業融資の営業を担当。2006年に同社へ入社、2011年の専務取締役就任を経て、2016年に代表取締役社長へ就任。 |
沿革 | 1805年 初代小林林之助が大阪あみだ池にて「粟おこし」の製造を始める 1904年 日露戦争時、明治天皇より「恩賜のおこし」のご用命を受け、以来昭和20年まで宮内省御用達の栄誉を授かる 1927年 業界初、原料からの一貫生産の新工場を完成 1951年 戦災を被るも、株式会社として再興 2011年 おこしの新ブランド「pon pon Ja pon」1号店 髙島屋大阪店に開業 2015年 やわらかいおこし「マシュー&クリスピー」専門店を日本で初展開 2015年 初の洋菓子ブランド「DAIKOKU JOURNEY」を開業 |
本社所在地 | 〒550-0014 大阪府大阪市西区北堀江3-11-26(※本店所在地) |
URL | http://www.daikoku.ne.jp/ |