国内外に27校を運営する国内最大手のテニススクール

ノアインドアステージ株式会社 代表取締役社長 大西 雅之 様

Q.創業からこれまでの沿革は?

1980年、親会社である日東社の工場跡地にテニススクールが開校されたことが、当社の創業に当たる。私は1987年に日東社に入社した。ある時、テニススクール事業の責任者が退職することになり、私がその後任となった。私が就任して間もなく、前任者時代に80名程度であったスクールの生徒数をなんとか300名まで増やし、年商4000万円にまで引き上げることができた。しかしながら、屋外コートだったため、冬になると生徒数が激減してしまうということが起こった。そこで、3面分を屋内コートに改装したところ、季節や天候の影響を受けにくくなり、生徒数が安定的に増加していった。

ただし、ハード面の改善だけでは不十分だと感じ、全国各地の成功しているインドア・テニススクールを見て回り、ノウハウを教えていただいた。その中でも、「テニススクールをサービス業と捉え、コーチが生徒に教えさせていただく」という考え方は参考になった。当時のテニスコーチは、「厳しい指導者」というイメージが強かったが、テニス初心者にも受け入れてもらえるように、生徒を褒め、テニスの楽しさを伝えることに注力していった。その結果、「コーチが優しくて、テニスが楽しい」という評価を頂けるようになった。

Q.事業内容、事業展開の状況は?

国内最大手のテニススクールとして「テニススクール・ノア」を、関西を中心に国内外で27校を運営している。2016年にはタイのバンコクにもスクールを開校し、初の海外進出を果たした。また、「ノア・ジュニアテニスアカデミー」という競技テニスに取り組みたい子供向けのスクールも国内外に9校展開している。

2009年には、子会社として、アルドールテニスステージ株式会社を設立した。同社は、従来のインドア・テニススクールのように大人数でのレッスン形態ではなく、インドアでありながら少人数制を貫き、一人ひとりに行き届いた指導を提供している。

2017年8月現在、生徒数は累計3万名、スタッフ数は、正社員・契約社員・アルバイトを含めて875名が在籍している。

Q.事業拡大に当たり、苦労したことは?

2002年には、従業員数60名・スクール6校にまで拡大していたが、突然当時の幹部社員がコーチを引き連れ辞めるという惨事が起こった。その後も、優秀な人材の退職が続き、特にフロント・スタッフが辞めていた。その背景には、社内の人間関係の問題があった。特に、フロントに対してコーチが上から目線で接していたこと、お客様からのクレーム対応もフロントに集中していたことで、フロントが不満を募らせていた。テニススクールの仕事は好きでも、上司や会社、職場の雰囲気が嫌いで退職していく社員が多かった。その頃から、経営者として、社員の心を掴んでいなかったことを反省するようになった。

Q.その問題をどのように解決したのか?

そこで、2007年に従業員満足度調査を実施した。すると、「経営理念は抽象的なので、より具体的な行動指針が欲しい」、「人事評価制度が分かりにくい」などの声が社内から上がった。そこで、作り上げたのが「ノアイズム」だ。「ノアイズム」の策定にあたり、某コンサルティング会社の支援を受け、幹部社員と1年間にわたり議論し続けた。このことがきっかけとなり、社員を大切にする組織風土が醸成されるようになった。当社ではこれを「ノア維新」と呼んでいる。

次に、各スクールの清潔感・美化の向上を目的として、「環境整備」を導入した。私が自ら毎月全スクールを視察し、定められた項目が出来ているかどうかをチェックしている。これによって、スタッフ同士が協力して、環境美化に取り組むようになり、社内のコミュニケーションの活性化に繋がったとして、社員からも好評だ。

そのほか、人事異動は会社を良くする特効薬として効果を上げている。上司に恵まれなかったスタッフや、良いマネジメントが出来ていなかったリーダーを別のスクールに異動させることで、それまでとは全く異なる成長を遂げるようなことも珍しくない。人間は環境が全てであるため、適切な人事異動は効果を上げやすい。

Q.「ノアイズム」ではどのような行動指針を謳っているのか?

「ノアイズム」とは、社員に大切にして欲しい7つの行動指針のことであり、「お客様感動」、「現場主義」、「チームワーク」、「利他の心」、「チャレンジ精神」、「学ぶ姿勢」、「360度笑顔」を掲げている。最後の「360度笑顔」というのは、どんな時でも、どんな方向から見ても笑顔でいることを大切にし、「ここに来たら笑顔になる!」という声をお客様からいただこう、という行動指針である。

Q.スクール事業で成功するためのポイントは?

まずは、支配人教育だ。経営が上手くいっていない事業所はリーダーが良くない場合が多い。良いリーダーには母性と父性が備わっている。母性とは愛情や誠実さのことで、父性とは数字を把握できる能力のことだ。最近は、母性の方が重要だと考えており、特に、「信頼関係を作ること」、「受け入れること」、「関心を持つこと」が、部下のマネジメントにおいて重要な3要素だ。これを「マザリング・マネジメント」と呼んでいる。

次に、従業員満足度も大切だ。従業員満足度が高いと、自ずと顧客満足度も高くなる。従業員の関係性や風土がよければ、自然と良い笑顔ができるようになり、お客様を幸せにすることができる。

Q.人材教育はどのように行っているか?

フィロソフィーの浸透に力を入れている。朝礼では、社員一人ひとりフィロソフィーの一部を読み、その箇所に見合った行動を実行できたか、発表するようにしている。また、「フィロソフィー勉強会」や「ノアイズム勉強会」なども開催されている。更に、ノアイズムで定められた7つの行動指針に基づき、360度評価が行われ、それによってノアイズムの浸透を図っている。

Q.顧客属性は?どのように集客しているのか?

スクール生徒全体の55%が女性だ。その中でも40代女性に最も利用され、50代女性、30代女性と続く。一方、12歳以下の子どもは全体の25%を占めている。テニスは家族で楽しめるスポーツであるため、家族全員でご利用いただく場合も多い。

集客については、全体の契約数のうち40〜50%は紹介によるものだ。それに続き、ウェブからの問い合わせ、チラシからの問い合わせとなっている。「ノアに通うことが楽しい」、「ノアに通い始めて人生が楽しくなった」といった口コミが多い。最近は、ひきこもりの子どもがノアに通い始めたことで学校に行けるようになったという実例もある。

Q.今後のビジョンは?

「テニスといえばノア!」と言われるようなポジションを築いていきたい。また、海外進出も更に進めたいと考えており、次は台湾を検討している。進出候補地の選定基準は、親日家が多い国であること、治安がいいことだ。まだ習い事をするという文化がない国も多いが、当社が日本のテニススクール文化を海外で広めることに貢献していきたい。

会社概要

会社名ノアインドアステージ株式会社
事業内容・テニススクールの企画・運営
・テニスイベント企画運営
・テニス用品販売
代表者名大西 雅之
代表プロフィール1963年、兵庫県生まれ。兵庫県立神戸商科大学を卒業後、家業の日東社に入社。半年後、テニス事業の前任者の退職をきっかけに同事業へ配属となり、責任者とコーチを兼任する
沿革1980年 姫路テニスクラブ開業(屋外10面)
1998年 西宮校・加古川校オープン
1999年 社名を「日東興業株式会社」から「ノアインドアステージ株式会社」に変更
2015年 タイに現地法人「Noah Asia International」を設立
2016年 ノアファシリティーズ株式会社を設立。タイ・バンコク校オープン
2017年 フットサル事業部を株式会社ブラーボデザインとして分社化
本社所在地〒672-8014
兵庫県姫路市東山524番地
URLhttps://www.noahis.com/corp/