創業100年のベンチャー企業、プラスチック加工のプロ集団
大阪銘板株式会社 代表取締役 山口 徹 様
Q.現在の事業内容は?
当社は金属看板、門標等のあきないを目的に大正時代に創業し、現在はプラスチック射出成形をコア技術に、デザイン提案・設計・試作・金型製作・射出成形・仕上・組立までを手掛ける一貫生産体制を確立している。私の就任以前は、松下電器産業(現パナソニック)の売上が全体の80%を占め、家電事業の開発に注力していたが、就任した2005年を境に新しい事業に挑戦し、現在ではアミューズメント機器関連事業と自動車部品がそれぞれ全体の40%を占め、中核事業へと成長した。その他、BtoC向けの自社商品として、2002年に開発した足洗い専用ブラシ「ヘルシーフットウォッシャー」は、Amazonや通販、雑貨専門店で販売し好評いただいている。
Q.海外事業の状況は?
1978年にシンガポールに進出した。当時の主力取引先に追従する形で進出し、シンガポールでは欧米企業とも取引していた。
現在は、シンガポール資本のパートナー企業Meiban Group Pte Ltdと提携し、海外事業を進めている。同社は、シンガポール、マレーシア、中国に工場を有しており、当社の事業を一部委託している。同社は、当社と同様にプラスチック射出成形に強みを持ち、DysonEMS(製造請負)パートナーとして、クリーナー等の製造も行っている。
私が海外志向ということもあり、タイや中国に20代の若手社員を派遣したこともある。当社では、若手社員であっても、高い意欲があって任せられると判断すれば、積極的にチャンスを与える社風がある。将来的には自動車関連事業の海外進出も狙っていきたい。
Q.事業面の強みは?
まず、射出成形のパイオニアとして、それまで世の中になかった数多くの新製品の開発をお客様と一緒に手掛けて来た為、社内に高い技術力が蓄積されており、それを武器にお客様のご期待を上回る提案が出来ること。
次に、一貫生産体制を築いていること。デザイン提案・設計・試作・金型製作・射出成形・仕上・組立までの全行程を社内で行えるため、プロセス横断的に柔軟な対応が可能となっている。よって、全体最適を視野に入れた工程設計が出来、効率的なモノづくりを実現している。また、金型製作、射出成形のみの対応も可能なため、顧客に寄り添った提案ができる。
Q.どのような理念で事業を行っているか?
「最高経営方針」として、「人格を尊重し、機会平等、人間平等の精神に徹し、「人を生かす」企業であること」、「常に改善、開発を進め、技術商品の持続的創造に徹すること」、「弾力経営体制に徹し、硬直化体質にならぬこと」の3つを掲げている。
また、「大銘経営四則」として、「製品を造る前に、人を作ろう」、「商品を売る前に、責任を売ろう」、「大きくするより、良い会社にしよう」、「会社の体力(競争力)作りに徹しよう」の4つを掲げている。
Q.理念の浸透を図るために、どのような取り組みを行っているか?
企業理念を掲げているものの、以前は従業員への浸透度が低かったため、私が社長に就任してから「ダイメイ・クレド」を作成した。これは、企業理念を簡略化し、役職ごとの行動指針に落とし込んだものだ。そのほか、隔週で配信しているトップメッセージや四半期ごとに実施しているタウンミーティングも理念の浸透に寄与している。
Q.「人を生かす」ために、どのような取り組みを行っているか?
第一は、トップメッセージの配信だ。これは、私が従業員に向けて隔週でメッセージを発信しており、会社として、組織としての考え方のベクトル合わせを行っている。従業員からはメッセージを読んで自分が感じたことを返信してもらっており、この返信内容から会社の改善すべき点が浮かび上がってくる。加えて、全従業員に自ら考え文章を書く機会を設けることで、考える力の向上にも効果が現れてきた。私が全従業員にコメントをフィードバックする時間がないため、返信内容が最も印象的だった5名を毎回選んで全社に紹介している。この取り組みを当社ではポイント制にしており、選ばれるとポイントが加算され、年間ポイントトップ数名を毎年食事会に招待している。
第二に、教育研修がある。中でも特に注力しているのが、リーダーシップと新規事業の研修だ。リーダーシップ研修は、毎年各事業所から5~6名を選抜し、外部で講習を受けてきた上司が研修の講師を務めている。この研修によって、部下に対するマネジメント力が向上することはもちろんのこと、普段交流のない社員同士が集まることで、事業所間の交流も促進されている。新規事業研修内容は実践的で、未来の経営者を育てるつもりでやっている。
第三に、プロジェクト活動だ。これは、若手メンバーを中心に、部署の垣根を超えたプロジェクトチームを結成し活動している。プロジェクトは多岐にわたるが、最近では創業100周年の式典や会社パンフレットの作成を一任した。
他には、ボトムアップの取組として、改善提案活動やQCサークル活動を行っている。この活動により生産性や職場環境が向上しており現場改善に活かされている。両活動共に年間を通じて最優秀に選ばれたメンバーに対しては、研修旅行等のインセンティブを用意している。
Q.人財育成の効果は?
業績面でも効果が現れている。私の社長就任以前は、パナソニックを始めとする家電関連の売上が全体の80%を占めていたが、今では自動車・アミューズメントという新しい柱を育てることができた。自動車事業の立ち上げ時の苦労として、自動車メーカーによる厳しい監査があった。これまでの家電事業とは異なり、QCDDM評価 (Quality / Cost / Delivery / Development / Management)という自動車メーカー独自のサプライヤー評価基準があり、この高いハードルをクリアする事により、初めて入札に参加する事が出来る様になる。今まで経験した事のないチャレンジであったが、社員達が諦めずにベクトルを合わせて頑張ってくれたので、自動車ビジネスに参入する事が出来た。
Q.今後のビジョン、課題は?
2022年までに、自動車、アミューズメントに続く第3の柱の構築と、その他成長産業での事業基盤を確立していきたい。そのために、新しい産業領域の企業とコラボレーション出来ないか模索しているところだ。
課題としては、情報収集やマーケティング力が弱いこと。また、人財の成長が現在の事業規模に追いついておらず、人財のレベルを底上げして行く必要がある。
Q.求める人物像は?期待する役割・成果は?
自らの力で事業を立ち上げられるような方に是非入社してもらいたい。商社マンのように、自らチャンスを発見し、人脈を駆使して周りを巻き込み、事業を形にして行くような方を求めている。その反面、言われたことだけを当たり前のようにこなすだけでは当社の人財として相応しくない。
期待する役割としては、当社で何か足跡を残して欲しい。実際に、アミューズメントや自動車関連事業は、事業責任者が未経験ながらもチャレンジして事業基盤を築いたので、そのような先輩を見習って活躍してもらいたい。
会社概要
会社名 | 大阪銘板株式会社 |
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事業内容 | プラスチック製品設計・金型設計製造及びプラスチック成形 |
代表者名 | 山口 徹 |
代表プロフィール | 1969年、大阪府生まれ。小学校高学年から中学校卒業までの6年間、先代社長である父の仕事の関係でシンガポールで過ごす。1993年 同志社大学大学院工学研究科を卒業後、日系電器メーカーを経て、1997年に日本フィリップス半導体事業部(現 NXPセミコンダクターズ)に入社。2004年6月大阪銘板に入社し、2005年2月代表取締役社長に就任。 |
沿革 | 1932年 大阪市東区博労町に(株)光栄社として設立、金属製ネームプレート・バッジなどの銘板の製造販売を開始 1948年 商号を大阪銘板(株)と改称、主な営業品目を合成樹脂製銘板その他成形品の製造販売とする 1978年 ダイメイプラスチックシンガポール設立 2006年 ダイメイプラスチック大分設立 |
本社所在地 | 〒577-0005 大阪府東大阪市七軒家18番15号 |
URL | http://www.daimei.jp/ |