和雑貨×EC事業が急成長、愛知の和服小売企業
株式会社尾東 代表取締役社長 人見 靖志 様
Q.社長就任の経緯・理由は?
新卒で入社した会社では、呉服問屋で営業を担当していた。当時、取引先だった小売企業の仕入れ担当者が当社の現会長(前社長)で、彼の上司が当社のオーナーだ。そのオーナーから「呉服屋を一緒にやらないか?」と誘われ、1993年に創業したのが当社の始まりだ。私は今年で24年目となるが、創業以来、現場から経営までの全てを2番手として牽引してきた。具体的には、チラシ作成、仕入れ先の開拓、仕立て出し、販売、帳簿付けまで、全て私に一任されていた。私が3代目として社長に就任したのは、2015年のことだ。
Q.事業内容は?
着物の販売店舗である「きもの専門店 和わ」を6店舗、着付けからヘアメイク、撮影までをおこなう成人式に特化した振袖専門館「花舎(かしゃ)」を2店舗、ネットショップ「こだわりきもの専門店 kisste(キステ)」、和雑貨を取り扱う「JapanShop結(ゆい)」を2店舗展開している。時代のニーズに合わせて、様々な形態の事業を展開してきたが、いずれの新規事業も社員の強い想いから誕生している。
Q.社員の想いから誕生した事業とは?
当時入社3年目の女性社員から「振袖事業を立ち上げさせてもらえないか」という提案があった。それまで呉服事業ではカジュアル品に特化した店づくりが中心で、振袖事業は競合も多く手がけてこなかったのだが、その社員の熱意に感動し、全てを任せた。
振袖事業ははじめの3〜4年間、数千万円の赤字が続き、一時は撤退も考えた。しかし、社員が夢を持ち続けガムシャラに走り続けた結果、崖っぷちの状況からV字回復し、現在は、着付けからヘアメイク、撮影までを一貫して行える成人式に特化した振袖専門館「花舎(かしゃ)」として、当社の柱事業にまで成長している。
Q.ネット事業を始めた経緯は?
以前、一人の女性社員がとても斬新な着物を着て来たことに衝撃を受けたことがある。その時に、「20〜30代の若い女性をターゲットにした着物をネットで販売したら面白いかも知れない」と考え、ネット事業を始めた。だが、立ち上げてから1年間は売上がゼロという散々な状況だった。そんな状況を打開できたきっかけはオリジナル着物のこだわりを捨て、得意とする和装小物を販売し始めたことだ。当初は年間の売上が240万円程度だったが、現在では年間2億円までに成長している。
成功の要因は、着物や浴衣などショップ間の競争が激しいものでなく、お客様が良い商品がなく困っている、巾着や草履やバッグなどの隙間商品に目をつけたことだ。現在、「楽天市場」において小物商品の取り扱いショップとしてはNo.1のポジションを築くことができた。2016年には、約1万個の巾着をネットで販売することに成功し、そのうち80%が「楽天市場」からの注文だった。2017年は、下駄を積極的に販売していきたい。
Q.「JapanShop結(ゆい)」とは?
「JapanShop結(ゆい)」は、ギフト和雑貨を中心に取り揃えており、お客様が感動する梱包と熨斗に力を入れている。現在は愛知県内で2店舗の出店にとどまっているが、20坪で採算の取れる店舗形態を確立でき次第、将来的に47都道府県に出店拡大していきたいと考えている。
Q.今後のビジョンは?
10事業で100億円体制を築きたい。現時点で成長余地が大きいのはネット事業だ。一方で、呉服店も30店舗まで拡大していきたい。そのためには、収益の大半をイベント販売で作る事業モデルから脱却し、隙間商品を強みとする事業モデルを構築したい。具体的には、店頭に小物を展示し、店内で草履を見せ、着物も提案していくような店舗づくりをしたい。店頭に小物を置くことで、着物に興味のある方や近日中に着物の購入を検討している方に注目して頂けるような店舗にしたい。
Q.今後の課題は?
第一に、幹部候補生の教育だ。当社は、販売員の接客力とチームワークを強みとしているが、管理職のマネジメント力が弱い。店長を始めとするマネジメント層を若手中心に育てることが急務だ。第二に、呉服業界自体が崩壊の危機に直面していることだ。一昔前までは、2兆円産業と言われていた呉服市場も10分の1以下にまで激減している。そのため、当社としても時代に取り残されないよう、時流に乗り生き残る道を模索していく必要がある。
Q.求める人物像は?期待する役割・成果は?
元気のある方、チャレンジして失敗してもめげずに、やり遂げられる方を求めている。当社では、笑顔と元気を常に大事にしている。仕事で失敗しても繰り返さずに、進み続けることを期待している。一生懸命仕事をやり続けられる方には全てを任せていきたい。実際、私も営業から経営まで全てを一任されたことで成長できたため、若手社員にはチャレンジできる環境を提供していきたい。
会社概要
会社名 | 株式会社尾東 |
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事業内容 | きもの・振袖の販売店経営、ギャラリーの運営 ・「きもの専門店 和わ」 ・「振袖専門店 花舎」 ・「オンラインショップ kisste」 ・「和雑貨JapanShop 結」 |
代表者名 | 人見 靖志 |
代表プロフィール | 京都府出身。愛知学院大学を卒業後、名古屋の呉服問屋に就職。営業、商品課を経験し、1993年「きものの尾東」に転職。その後2015年に代表取締役社長へ就任。 |
沿革 | 1993年 春日井市中央台サンマルシェ内に「kimono&waso尾東」創業 1996年 「有限会社 尾東」設立 2002年 「トータルフォトスタジオきらら」設立 異業種展開開始 2006年 フォトスタジオ事業を振袖専門館「花舎」に組織変更 2012年 「JapanShop結 大垣店」設立 和ギフト事業展開スタート 2016年 インターネット事業「レンタル部門」本格スタート |
本社所在地 | 〒486-0912 愛知県春日井市高山町1-8-4 |
URL | http://bbth.co.jp/ |