サッカーの街からアジアに挑戦、スポーツビジネス・カンパニー
株式会社藤枝MYFC 代表取締役 小山 淳 様
Q.事業内容は?
株式会社藤枝MYFCは、「サッカーの街からアジアのサッカーシティへ」 を合言葉に静岡県藤枝市を本拠地とするJリーグクラブ「藤枝MYFC」の運営を行っている。また、グループ会社である株式会社スクールパートナー(東京都渋谷区)では、幼児・小学生を対象にしたサッカー・野球・チア・体操などのスポーツスクール運営を行っている。
Jリーグクラブとしての「藤枝MYFC」は、藤枝市・焼津市・島田市・牧之原市・吉田町・川根本町をホームタウンとし、行政からも正式認定されている。スポンサーもホームタウンに拠点を構える企業が大半となっている。
一方、スクール事業は全国および世界で展開している。「MYFCサッカースクール」は静岡県内を中心に展開し、1万名以上の生徒が在籍している。静岡以外では、関東・関西でスクーリングを展開しており、海外ではベトナムで1050名以上の生徒が在籍している。
このように、スクール事業は静岡県にとどまらず、全国および世界に展開しており、将来的に上場も視野に入れている。藤枝MYFCは、Jリーグクラブなので、上場することができないが、有望な事業があれば別会社化して、上場を目指して行くことは可能である。スポーツ事業を行う企業グループとして世界一を目指すことを目標としている。今期はスクールパートナーと合わせて年商14億円程度だが、少なくとも1000億円以上の企業グループを目指したい。
Q.なぜJリーグクラブを立ち上げようと思ったのか?
Jリーグは100年で100チーム作ることを宣言したが、当時は30〜40クラブしか存在していなかった。クラブチームの経営を研究したところ、クラブビジネスは成長の伸び代が大きいと分かった。しかし、大半のクラブチームは大企業が運営しており、クラブをゼロから立ち上げたところがなかったので、藤枝MYFCを立ち上げようと思った。もし、クラブチームをゼロから立ち上げることができれば、そのノウハウをもとに、他地域や海外でも横展開できると考えた。
Q.スクール事業を開始した経緯は?
近代スポーツの元を辿ると、イギリスで教育の一環としてスタートしたことが分かり、教育とスポーツの深い関係性に着目し、7年半前にスクールパートナーと提携して、スポーツスクール事業を開始した。
Q.人生をかけてやろうとしていることは?
藤枝MYFCについては、今以上に地域に対して大きな影響力を持ち、藤枝MYFCが存在することで地域を豊かにしていくことが使命だ。スクール事業については、「スポーツを通じたリーダーシップ教育・人間教育」を日本全国・海外へ広めていきたい。
Q.「藤枝MYFCが存在することで地域を豊かにする」とは、具体的にどのようなことを行うのか?
一つは、株主やスポンサーとして当社に携わっていただいている企業の付加価値向上に貢献していく。それらの企業と共同で事業を開発するような取り組みを行っていく。例えば、焼津市の水産会社と疲労回復ゼリーを共同開発しているという事例がある。藤枝MYFCがハブになって、企業と企業を繋げたり、当社も参画して共同で事業を展開していく。これが最も波及効果があり、経済的にも貢献できる方法と考えている。
二つ目は、藤枝MYFCを魅力的なクラブチームに高め、地域の人々や地域外からもたくさんの人々が集まるような場を創っていきたい。そのためにも、早期にJ2・J1に昇格し、何万名ものお客様がホームゲームに来て頂けるようにしたい。
三つ目は、スクール事業においても、キッズスクールとして子供たちへの教育力を高め、スポーツを通じてリーダーシップ溢れる子供を増やしたい。彼らが大人になった時に地域に還元してもらえるような長期スパンで、地域社会に貢献していきたい。
Q.今後のビジョンは?
たった7年で、株主400社・スポンサー140社が応援してくれるような企業に成長できたのは異例なことだと思う。我々のような新興スポーツクラブを支援する企業は、どの会社も元気で面白い会社ばかりだ。そこで、株主・スポンサー企業の強みと当社の強みを生かし、スピンアウトしたり、新規事業を立ち上げていったりと、スポーツの軸はぶらすことなく、事業展開していきたい。スクール事業はその一つだ。このように、藤枝MYFC単体としてだけではなく、グループ全体としてスポーツの事業体を創り上げ、世界一を目指していきたい。
Q.一般的に、プロスポーツクラブは、スクールのような一般消費者向けの事業を展開することが多いが、藤枝MYFCが企業との共同事業開発などに目を向けるのはなぜか?
元々私自身がBtoBに強かったことがある。以前、IT企業を経営していた時の主要顧客は企業であり、その手法を生かして経営している。加えて、クラブチームはBtoB展開を最もやりやすい事業体だと考えている。なぜなら、Jリーグクラブはエリア制を敷いているため、その地域でオンリーワンな存在として認められる。また、当社の場合、大手企業の利権が一切絡まないため、あらゆる企業とコラボし、新しい価値を創造することができる。このように、Jリーグクラブだからこそ、株主やスポンサー企業との協業できる機会が大きいと考えている。
Q.400社の株主は何に期待をして出資しているのか?
まず一つは、地域のため。地域の人口が減少し、また災害の不安から地域全体が暗くなっているところに、地域に明るい話題を提供できるような夢を応援し、出資いただいているケースがほとんどである。もう一つは、当社が地域企業とコラボし付加価値を生み出していくことを明言しているため、戦略的なパートナーシップとして出資いただいているケースもある。
Q.今後の課題は?
まずは、人材育成。当社の社員には、失敗を恐れず多くの経験を積んでほしい。着実に育っていきているが、社歴が7年半なので、新卒社員も含めた育成には今後も注力していきたい。また、クラブとしてより地域に密着した運営をしていきたい。更に、財務基盤を強化していくことも課題である。
Q.求める人物像は?
基本は入社してからどれだけ頑張れるかが勝負であり、当社に合う人物像を一概に言うことは難い。学生時代にスポーツをやっていなくても良いし、サークルでリーダーをやっていなくても良い。そのような経験は問わないが、当社が掲げている「人のせいにしない」、「環境のせいにしない」、「嘘をつかない」というマインドを持って生きてきた人は当社にマッチするだろう。
会社概要
会社名 | 株式会社藤枝MYFC |
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事業内容 | ・プロサッカークラブ男子トップチーム「藤枝MYFC」・女子トップチーム「ルクレMYFC」を経営 ・スポーツスクールの経営 |
代表者名 | 小山 淳 |
代表プロフィール | 1976年静岡県藤枝市生まれ。藤枝中時代、1年時には13歳以下の日本代表副キャプテンとして世界少年大会で優勝。3年時にはU-15日本代表として中田英寿らと韓国遠征に参加。早大進学後に左足首を負傷。選手生命を絶たれる。世界33カ国放浪の後、IT業界へ転進、2002年にJプレイヤーズを創業。2009年7月に日本発のネットオーナーシステムを取り入れた革新型クラブ「藤枝MYFC」を創業。 |
沿革 | 2009年 静岡県1部リーグ(7部)スタート 2011年 東海1部リーグ(5部)優勝・地域決勝大会(JFL昇格戦)2位 JFL昇格 2013年 JFL(4部)13位・Jリーグ準加盟 Jリーグ昇格 |
本社所在地 | 〒426-0041 静岡県藤枝市高柳3-26-33 |
URL | http://myfc.co.jp/ |