デザイン性の高い工場の建設を中核に多角化を進めるゼネコン
株式会社タカヤ 代表取締役社長 望月 郁夫 様
Q.社長就任の経緯は?
創業家である高田家が代々社長を歴任してきたが、昭和54年、高田家から引き継ぎ、私の父である望月茂が5代目の代表取締役に就任した。その後、6代目を経て、平成12年に私が7代目の代表取締役に就任した。平成14年に民事再生法の申し立てを行い、10年間で経営・財務面を整理し、自力再生を遂げることができた。現在は会社の成長のため「攻めの経営」を行っている。
Q.事業内容は?
工場の設計施工に加え、土木建設、近年では、住宅・リノベーション・不動産などBtoC向けの事業にも注力している。
主力事業である工場の設計施工については、「Factoria(ファクトリア)」というブランドで、デザイン性の高い工場をプロデュースしている。「工場=3K(きつい・汚い・危険)」という常識を、「3C(Cool・Comfortable・Communication)」に変えていくことを目指している。「作業ができればそれでいい」という箱のような工場は建設しない。設備や動線といったハード面だけでなく、明るくオシャレな社員食堂、かっこいいユニフォームといったスタッフのモチベーションアップまでを考え、企業風土を変えるような「工場建設のトータルサービス」を提供している。
BtoC向けの事業としては、北欧デザイン専門のマンションリノベーションを行う「REFORCO.(リフォルコ)」、ポートランドスタイルのリノベーションを行う「OREGONIA(オレゴニア)」、などの自社ブランドを展開している。
Q.主力事業の戦略は?
主力事業の「Factoria」は、岩手県内だけでなく、東京、大阪、四国など全国で事業展開している。設計施工だけではなく、インテリアコーディネーターによる内装・家具の提案、デザイナーによる商品パッケージデザインもする。工場の設計施工の提案力には自信を持っている。
一方、公共工事を中心とする土木建設事業については、展開エリアを岩手県内に絞り込み、一極集中で人・モノの効率的な戦略を取っている。
Q.「工場の設計施工」への選択と集中を行った理由は?
当社には、インテリアコーディネーターやグラフィックデザイナーのクリエイティブ系スタッフが多く在籍しており、一般的な建設会社とは異なるこのような専門人材の強みを活かしたかったためだ。デザイン性の高い工場の設計施工においては、そのような専門人材が活躍できる機会がある。
もう一つは、やることを絞ることでスタッフの専門性を上げたいからだ。取り扱う製品、規模など一つとして同じ工場はない。だからこそ経験値の蓄積が重要である。あれこれやらせずに「工場」に絞ることで工場建設のプロフェッショナル集団に育てている。
これらの当社の強みを生かし、お客様を感動させることのできる領域だと判断した。
Q.当社の強みは?
事業面においては、工場の設計施工に特化している建設会社は全国的にも珍しい。工場の設計施工に特化して小回りの利くトータルサービスを提供していることは強みだ。それが、多くのお客様に信頼いただいている要因と考えている。また、BtoB、BtoC共に特定の分野に専門特化したブランド展開を行っている。例えば、「工場建設ならファクトリア」や「北欧デザインならリフォルコ.」のように、絞り込むことでお客様から発見されやすくなり、高い成果を上げている。
人材面においては、女性・外国人スタッフも長期にわたり活躍できる職場環境が整っているため、ダイバーシティ経営が強い組織を創り、その結果、営業提案力の底上げにも貢献しているのだ。
Q.近年、ブランディングに注力されているが、成果は?
業績が伸びていることもそうだが、経営者様の会社見学が増えた。お客様の中には、当社のHPをご覧いただき、他社との比較や相見積もりを行うことなく、始めから当社と契約することを決めているような方もいらっしゃる。これは企業風土、取り組みなどブランディング戦略によって発せられるメッセージに興味を持たれている証拠だ。業界は違えど、経営者という立場や悩みは一緒だからであろう。求める立場から求められる立場に変わった象徴的な案件だ。
Q.新規事業はどのように発案され、実行されているのか?
まず、私が世の中の動向を読み解き、今後伸びる市場や、時代に乗り遅れないためのテクノロジーを見定めている。しかしながら、私は大きな方向性を示すだけで、その後のプランニングや実行に向けた実務はスタッフが主導で行っていく。また、プロジェクトごとにあらゆる部署から最適なメンバーが集まり、フレキシブルな組織体制でプロジェクトを推進していく。
Q.今後のビジョンは?
まずは100年企業だ。現在、震災復興需要が減退しており、昨年進出した関西エリアにおいて、工場の設計施工案件をいかに獲得していけるかが重要な課題となっている。また、変化が激しい業界だからこそ、建設業の殻を破る大胆な施策に挑戦し、成長していきたい。
Q.人材育成について、どのような取り組みをしているのか?
「スタッフが成長した分しか、会社は成長しない」と考えている。人材育成については、何よりも「自分で考え、自分で経験してみる」ことを重視している。また、スタッフに対して「社長所感」を6年前から毎週欠かさずメール配信し、私の考えや新規事業にかける想いなどを伝えている。外部研修への参加や他社見学も推奨している。
Q.経営者としての強みは?
経営について独学で勉強したり、外部セミナーに積極的に参加している。特に、経営が上手な会社を業界問わず、ベンチマークすることを重視している。例えば、カルビー・松本会長からは「成果に結びつかないことはしない・排除する」ことを学び、当社のマネジメントにも生かしている。
Q.人材採用において、求める人物像は?
当社の社風に馴染めそうか、当社が第一志望であるかどうかは、確認している。当社は、事業・組織共に変化が早く、流動的であるため、安定志向の方、一つのことしかやりたくない方には向いていないと思う。むしろ、変化を楽しめるような方に入社して頂きたい。
会社概要
会社名 | 株式会社タカヤ |
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事業内容 | ・建築事業 ・環境建設事業 ・住宅事業 ・リフォーム事業 ・不動産 ・海外事業 |
代表者名 | 望月 郁夫 |
代表プロフィール | 1952年岩手県花巻市生まれ。 1977年、明治大学政治経済学部卒業。1986年 高弥建設株式会社へ入社。 1993年に常務取締役就任を経て、2000年に代表取締役社長に就任。 |
沿革 | 1930年 高田弥市個人にて現北上市に高弥組を創業 1954年 高弥建設株式会社に組織変更(資本金500万円) 1976年 完工高が東北で第一位になる 2007年 盛岡市本宮(現所在地)に本社移転 2008年 本社1Fにショールームオープン 2008年 社名を「高弥建設株式会社」から「株式会社タカヤ」に変更 |
本社所在地 | 〒020-0866 岩手県盛岡市本宮五丁目5番5号 |
URL | http://takaya-net.jp/ |