「テクノロジーを親しみやすく」を追求するWEBサービス企業

株式会社サンロフト 代表取締役社長 松田 敏孝 様

Q.起業の経緯は?

大学卒業後、東芝で5年間コンピュータ関係の仕事に就いていた。焼津で会社を経営していた父親から地元に戻ることを強く要請され、思案したが父親の会社でコンピュータ事業を立ち上げることにした。その後しばらくして、兄がアメリカから帰国し父の会社を継ぐことになり、私は事業部をサンロフトとして分社化することにした。当初は、父親の会社の100%子会社だったが、2000年に私が株式の62.5%を取得して、今は関連会社になっている。

Q.どのような理念・想いで事業をやっているのか?

「テクノロジーを親しみやすく」という経営理念を掲げている。素晴らしいテクノロジーも登場した当初は決して親しみやすいものではなく、「どう使っていいか分からない」と困っている人たちは多い。そういう人たちに「テクノロジーを親しみやすく提供することで、お役にたちたい」という想いがサンロフトの出発点となった。

Q.事業展開の状況は?

創業事業は業務システムの開発、インターネットが普及した1996年からWebサイト制作にも取り組み、今はクラウドサービスの提供、情報セキュリティ環境の構築等、広く取り組んでいる。主力製品のクラウドサービスでは、社内SNSの「nanoty」、保育園・幼稚園向けのITツールである「パステルApps」・「パステルブログ」を日本全国で販売している。導入状況としては、「nanoty」が1アカウント毎の契約形態をとっており、現在82社・2084ユーザーに活用いただいている。園児管理システムである「パステルApps」は1園単位の契約形態で、358園に活用いただいている。園向けのWebサイトを手軽に作成できる、「パステルブログ」は、215の保育園・幼稚園・小中学校に活用いただいている。また、保育者のためのIT専門紙「パステルIT新聞」は11,895施設、81,379部を発行している。

Q.焼津に拠点を構えながら、日本全国にお客様を抱えられている。顧客の開拓はどのように行っているのか?

幼稚園や保育園向けのクラウドITツール(パステル関連のサービス)は、自社発行の新聞である「パステルIT新聞」による反響が大きい。あとは、自社開催のイベントでブースを構え、クロージングを行うケースもある。法人向けの社内SNSである「nanoty」はWebからの反響が大きい。お問い合わせが入り、2週間の無料体験期間を経て、有料プランに移行していただく。

Q.部門別人数は?

営業チームが12名、開発・デザイン・サポートチームが33名、総務・経理・広報・マーケティング・品質管理チームなどのバックオフィスが10名。事業部はサービスごとに分かれており、Webシステム事業部、モバイルセキュリティ事業部、クラウド事業部、パステル事業部から構成されている。

Q.強みは?

勉強好きで素直な社員が多いことが強みなっていると感じる。「テクノロジーを親しみやすく」を掲げて、親切に対応している社員の姿勢が、お客様に喜ばれているのではないかと思う。また、パステル関連のサービスについては、早期に「パルテルIT新聞」を発行し、園とのネットワークを構築できたことがよかった。

(広報・マーケティング担当・長谷川様のコメント)社員の立場から見ると、松田社長の存在が大きい。東京出張する機会が多く、その度に最新の情報を持ち込んでくれているため、社員の目線も自然と高くなっている。業界スピードの早い東京では、新しいイノベーションが次々と生まれているので、焼津にいるスタッフに多くの刺激を与えてくれる。また、社長自身に親しみやすさがあり、自然と周りに人が集まってくることで、新しいビジネスチャンスが生まれている。

Q.勉強好きで素直な社員がなぜ集まってくるのか?

採用活動もマーケティング活動の一環として捉えて力を入れている。学生向けの合同企業説明会では、学生の注目を集められるように演出を工夫している。当社を知ってもらうための労力は惜しまず、インターンシップの学生も積極的に受け入れている。2週間インターンシップを年に2回、1日インターンシップを3回実施し、社員と一緒に仕事してもらう機会を設けている。また、企業研究セミナー&交流会を3回実施し、予めサンロフトについて十分に理解してくれた上で選考に進んでくれる学生が増えている。

Q.学生はサンロフトのどのようなところに魅力を感じるのか?

学生へのアンケートによると、社風の良さと、新しいことに取り組み続けている先進性に魅力を感じているという声が多い。当社の採用活動においても、社風を気に入って応募してくれる人が集まるように心がけている。当社の社風は、親しみやすさや明るい雰囲気という印象を持たれることが多く、就活イベントのブースでも、紙芝居や動画を使い、先輩と後輩が楽しそうに話す姿を披露している。

Q.今後のビジョンは?

経営ビジョンを言語化した「ドリームマップ」を作成し、静岡の働きたい企業NO.1、地域貢献などの目標を掲げている。「テクノロジーを親しみやすく」という経営理念を基に、夢や志を共有できるようなパートナーと新しい価値ある事業を創造していきたい。

特に、オープン・イノベーションの推進には注力していきたい。IoT、ビッグデータ、AIなどの新しいテクノロジーがメディアで注目を集めているが、これからは一社単独でのサービス提供を目指すのではなく、信頼できるビジネスパートナーと得意分野を持ち寄り、オープン・イノベーションで開発していくことがキーになる。そのためには波長の合うパートナーとの出会いが大変貴重である。

また、現在、ソフトウェア開発をベトナムのパートナー企業との協業で進めることが多くなっているが、今後はさらに深く連携していきたい。ベトナムには若く、優秀なエンジニアが多数在籍している。

Q.組織面で優先的に取り組みたいことは?

「静岡の働きたい会社No.1」を目指す。職場ではひたすら生産の効率化を求め、家庭ではリラックスして過ごすという考え方だけでなく、仕事とプライベートをあからさまに切り分けないで、居心地のいい会社、イノベーションが生まれる環境作りに取り組みたい。これからはイノベーションを生み出せるかどうかで勝負する時代になっていく。そのためにも、社員には画一的な働き方を押し付けないで、テレワーク等も含め、働き方の選択の自由を提供していきたい。

もちろん、残業時間の削減などの努力は続けていく。また、女性も働きやすい制度づくりを心がけており、その結果、現在でも40%が女性管理職であり、これからも女性が働きやすい制度や環境づくりに注力していきたい。

また、サンロフトでは、一つの問題に対して、徹底的に議論し合うために、日帰り合宿を実施することがある。日帰り合宿はサンロフトの良い社内文化だと思う。

Q.IT業界全体と比較して、離職率はどうか?

同業他社とさほど変わらないか、やや低い方だと思う。しかし、一人当たりの業務量は多く、また、頭を使わなければならない仕事が多いため、言われたことしか遂行できないという人には当社は合わない。また、頭を使う・思考センスを求められる仕事では、できる人とそうでない人で生産性に思わぬ差がつくこともあり、ついていけない人には厳しい面もあると思う。全社員がよりイノベーションを生み出していけるようにするために、いいと思われることは積極的に取り入れていきたい。

Q.たくさんの製品・サービスを提供しているが、選択と集中についての考えは?

人的リソースが分散し過ぎていることは認識しており、選択と集中を進めたいという考えはある。ただ、有難いことにこれまで多方面から協業の相談をいただき、事業が広がってきた経緯もある。主にパステル事業部が多くの製品ラインナップを展開しているので、ここで選択と集中を実践することは考えている。

Q.今後解決すべき課題は?

まずは、マンパワーが不足していること。広く事業を展開しているので、どの事業も人材不足で困っている。特にエンジニアが不足しており、思うように採用できていない。

二つ目は、東京のITベンチャーと比較すると、スピード感がないこと。スピードは上げているつもりだが、東京のベンチャーを目の当たりにすると、このスピード感ではいけないと痛感する。このような弱みを抱えつつも、保育園・幼稚園・こども園という特定市場の業界で一番を目指すことは不可能ではないと考えている。社員総出で走り抜けていきたい。

記事内の数値は2017年6月時点のものです

会社概要

会社名株式会社サンロフト
事業内容・Webサイト制作事業
・業務システム開発事業
・セキュリティ対策支援事業
・クラウドサービス事業
・保育者向けIT専門紙発行
代表者名松田 敏孝
代表プロフィール1958年静岡県生まれ。1982年、東京芝浦電気株式会社(現 株式会社 東芝)に入社。1987年、株式会社朋電舎入社。1992年、株式会社サンロフト設立、代表取締役社長に就任。
沿革1992年 株式会社サンロフトを設立
2005年 自社開発の社内SNS「nanotyBP(ナノティ・ビー・ピー)」を導入。
2008年 園づくり・人づくりを考えるIT専門紙「パステルIT新聞」を創刊
2015年 「パステルApps」リリース
本社所在地〒425-0092
静岡県焼津市越後島385
URLhttps://www.sunloft.co.jp/