ホテル・旅館の経営を通じて社会的課題の解決を目指す

サゴーエンタプライズ株式会社 代表取締役社長 小野 晃司 様

Q.社長就任の経緯・理由は?

私がサゴーエンタプライズ株式会社の代表取締役社長に就任したのは2004年。当時の日本の経済情勢はバブル経済の崩壊からデフレスパイラルに陥っており、とにかく何でも安売りが競争力と言われていた。拡大均衡型から縮小均衡型のビジネスモデルに舵取りをしなければならないと感じた先代が、かつての日本式経営から脱却するには表面的な改善では難しい、むしろ抜本的な改革をすべきと、当時37才の私に経営権を渡した。

Q.どのような事業か?

現在の事業所は、浜名湖での温泉旅館部門、浜松駅近くのビジネスホテル部門とレストラン部門、それからコインパーキングを含めた賃貸部門。子会社として、浜名湖遊覧船とビル管理会社があり、総称して「サゴーグループ」と呼んでいる。現在は、顧客の7割が浜松市周辺から構成され、そこから生まれる売上は3割だが、収益の7割となっている。逆に浜松市外の顧客から構成される旅館経営は、設備投資産業と労働集約であり、さらに食材原価がかかるトリプルコスト体質であるため、顧客の3割から売上の7割と収益の3割を稼いでいる状態だ。

Q.どのような理念・想いで事業を行っているか?

経営理念は「顧客第一主義」だが、中期的には、お客様に良品廉価で商品を提供する「サービス・プロバイダー」から、他地域ではまねできない個性的な体験を提供する「コンテンツ・プロバイダー」へ、そして潜在需要を顕在化して満足につなげる価値を提供する「ソリューション・プロバイダー」へのシフトを目指している。お客様が実際に体験しなければ満足も不満足もない。かつては施設の利用だけでも目的になったが、現在は地域で何かできるかを調べて、自分が判断して選定して、その地域から利用する施設を決定する時代だ。まずは地域の魅力を磨いて選ばれなければ自社の存在はないと同じである。

Q.事業面の強みは?

浜名湖遊覧株式会社は2009年にサゴーグループのM&Aにより子会社となったが、地域の観光資源を感動体験化した集客コンテンツとして自社展開できる機能を果たしている。具体的には、浜名湖の景観を湖上から堪能できるサンセットクルーズを企画したり、サイクリストが自転車を船に乗せて浜名湖を周遊できるルートを構築したり、観光拠点を結ぶ「水上交通」を就航するなど、地方創生の成功事例として注目を集めるまでに至った。このコンテンツを、旅館を含めた観光施設が共有して商品化すれば相乗効果となり、価格以上の価値を提供できる地域に発展すると信じている。そういう意味では社会の課題を事業により解決する「社会起業家」としての役割を担っている。

Q.組織面・人材面の強みは?強みと言える企業文化は?

企業文化は、すべてを品質として経営する「TQM(全社的品質経営)」を1981年から35年以上も継続しており、2003年には旅館業では珍しい「ISO9001」を取得している。これは「誰が」からではなく「何が」からですべてを語ることで、良いものは誰がやっても繰り返せるように、また悪いものは誰がやっても繰り返さないように、職場の仕組みに変えていく改善活動だ。実は、この考え方で仕事をすると人材教育にもつながり、経験を無駄にしない習慣が、従事するスタッフにとって、明るく笑顔ある人生を送れることにつながると信じている。また、私自身がアメリカの大学院で経営学修士(MBA)を取得しているため、留学で得た知見を自己責任で試行錯誤して、比較的若い社長が経営努力を継続できる体制がすでにあることも強みかもしれない。

Q.5年後・10年後、どのような姿を実現したいのか?

日本は「課題先進国」といわれ、世界の歴史にない高齢社会と人口減少社会が同時に起こっている。この数年は「バックキャスティング」手法で、社会の避けられない構造の変化に適応すべき挑戦をしている。既存に足す付加価値という発想だけでは最大効果を生まない。新たな価値をゼロから創出する企業体を全体で目指さないと存続できないだろう。逆に、先進的な何かを創出できれば、世界への扉を開ける鍵になると信じている。

Q.ビジョンの実現に向けて最も重要な戦略、新たに取り組むべきことは?

まずは縮小均衡を図るために再編した既存の事業所を、収益ポートフォリオで判断していく。具体的には、サゴーグループが所有する不動産の収益化を確立しながら、この数年は地域の観光振興に特化したコンテンツ開発に傾注したいと考えている。変転にして不変。顧客に喜ばれる仕事を通じて社会に貢献し、そのうえで社業の永続的な発展と社員の生活向上を追求する。そのためにも透明性ある社内の情報伝達を心がけ、サゴーグループ全体で進捗を確認できる「経営基本方針」による事業計画を遂行していく。

Q.ビジョンを実現するために解決すべき課題、克服すべき弱みは?

やはり若手の人材不足。特に新卒採用は年々厳しさを増している。働く価値観も過去とは異なる。この10年は海外からのスタッフも増やしてきた。この取り組みにより、国際的な感覚で職場づくりをする体制に変わってきた。労働環境は時代とともに変化させていく自発的な改善を繰り返すべきで、次世代のスタッフが働きたくなる、組織を構築できると信じている。

Q.求める人物像は?期待する役割・成果は?当社で働く魅力や価値は?

従業員には「一専多能型の人間になれ」と言っている。例えば、フロントのスタッフでも、フロント業務を極めながら、宴会場の仕事を積極的に助ける人財になって欲しい。そのために、当社には、セクショナリズムを排除し、部門を超えて、全従業員が協力し合える「変形労働制」という仕組みがある。また、当社では新卒採用はもちろん、中途採用も積極に行っている。例えば「東京で働いていたけれど地元の浜松に戻りたい」「定年したけれど、まだまだ働きたい」という方も大歓迎だ。ぜひ、他社や他業種や他地域で経験したことを、当社に持ち込んで活躍して頂きたい。

会社概要

会社名サゴーエンタプライズ株式会社
事業内容温泉旅館など観光事業と宿泊特化型宿泊施設や飲食店の経営
代表者名小野 晃司
代表プロフィール1966年浜松市生まれ。浜松北高、筑波大学を卒業後、1994年米国ホフストラ大学大学院にて経営学修士課程(MBA)を修了。同年サゴーエンタプライズ(株)に入社。1997年に常務取締役TQM推進室長、1999年に代表取締役専務、2004年に代表取締役社長に就任して現在に至る。
沿革1950年 浜松市中区千歳町に浜松芸能興行(株)設立
1964年 (株)高砂園と商号変更
1980年 高砂観光(株)と商号変更
1990年 サゴーエンタプライズ(株)と商号変更
1994年 サゴービルサービス(株)を設立
2009年 浜名湖遊覧船(株)を事業継承
本社所在地〒430-0933
静岡県浜松市中区鍛冶町135
年商25億円(2017年グループ実績)
従業員数220名(パート100名含む)
URLhttps://www.3535.co.jp/