日本の食文化を世界に発信!海外展開する浜松の餃子メーカー

株式会社マルマツ 代表取締役社長 山下 光明 様

Q.創業からの沿革は?

父親が創業者で、私は2代目として社長に就任した。創業時は製菓・製パンの機械製造を手がけていたが、「食品は、良いものを適正価格で提供できれば成功する」という考えがあり、食品製造に興味があった。当時、餃子はスーパーで販売されておらず、一般家庭にあまり普及していなかった。そのため、餃子を家庭に広めたいと考え、手作りで餃子を作り始めたのが現在の事業の原型となっている。

Q.社長就任後、どのようにして事業を拡大したのか?

社長に就任してからは、市場でスーパーの仕入れ担当に試食してもらい、スーパーへの販売網を広げていった。スーパーでは主婦を相手に対面販売を行った。

マルマツの餃子が全国ブランドになった転機は、ビッグサイトなどの展示会に参加するようになってからのことだ。このように事業が急速に成長した時も、「競合他社より良いものを、適正価格で供給する」という初心は忘れなかった。今でも安売りはせず、一貫して自社ブランドでの製造にこだわっている。

その結果、一般家庭に支持されるブランドを築くことができ、営業活動をしなくとも、製造が追いつかない程の引き合いを頂いている状況だ。そのため、新工場の設立を進めている。

Q.海外展開もされているが、どのように販路を拡大したのか?

7年前から海外進出を積極的に進めている。香港の展示会に出展した際に、中国の国営放送であるCCTVによる取材を受けたことが大きなターニングポイントとなった。CCTVの取材によって、展示会の出展パートナーであった現地企業からの信頼を得ることができ、わずか1週間後には合弁会社の立ち上げ商談や現地工場の視察など、トントン拍子で話がまとまった。

中国の合弁会社で生産している餃子のうち、50%は中国国内での流通となるが、残る半分は、アジアやヨーロッパへの輸出を目的に生産している。中国国内における流通だけでなく、世界各国への輸出を重視している。中国国内で開催される食品展示会に出展し、そこに集まる世界中の企業と取引を始めている。主な海外販路先として、オーストラリア、香港、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、アメリカ、シンガポール、インドネシアなどが挙げられる。一方、中国国内での流通においては、現地に進出している数少ない日系スーパーへの供給はもちろんのこと、500店舗を展開するアジアンヌードルのチェーン企業、170店舗を展開する韓国料理のチェーン企業などと深い信頼関係を築くことができ、当社の大きな取引先となっている。

現在、売上は、国内市場が17.5億円、海外市場が約8億円となっている。近年では海外市場が急拡大しているため、新たに日本国内と台湾に新工場を建てる見込だ。特に、2018年12月に完成予定の浜松市西区大人見町の新工場については、投資額22億円、敷地面積2000坪の大工場を新設する。

Q.今後のビジョンは?

一貫して、食品事業にこだわっていきたい。ただ、食品を一般家庭に普及する方法として、食品製造以外にも、店舗事業や外食事業なども含めた事業展開を模索している。台湾では、アンテナショップを来年に新規オープンする予定がある。海外での事業拡大を目指すにあたり、食品メーカーだけに固執つもりはない。

Q.事業面での強みは?

まずは、食品の味・安心に強いこだわりを持っていることだ。特に管理体制は徹底している。実際、食品メーカーでは珍しく「ISO22000」の資格を有しており、加えて新工場については、食品管理資格で最も権威の高い「FSSC」の取得を予定している。

二つ目は、日本国内の少子高齢化を受け、グローバルでの成長に向けたビジョンを掲げていることだ。ここ数年の海外事業の急成長から、当社の餃子は世界中の方々に受け入れられる食品だと考えている。加えて、日本食に対する信頼は万国共通のため、全世界が市場となる。

三つ目は、従業員の人柄がよく、従業員ひとりひとりに対する信頼があることだ。海外での商談が増えているが、話が順調に進むのは、言語の壁を超えて仲良くなれる人柄や人間性があるからだと考えている。これは、当社の誇りだ。

Q.組織面での強みは?

社内のチームワークが機能しており、若手人材に大役を任せることができていることだ。信頼できる幹部社員が育ってきており、新工場の新設、海外での商談なども、社長判断に依存することなく、彼らが主体的に進めてくれている。

Q.人材育成の方針は?

若手人材を抜擢し、責任ある仕事を与えることだ。人は、成功すれば自信を持ち、より大きな夢や希望を持つようになる。当社では、責任ある仕事を任せ、そこで成功すれば、また新たな仕事を任せていくという循環の中で、若手人材を一人前に育て上げている。今後は、2〜3年の海外赴任にも挑戦できる「攻めの人材」と、経理や管理部門を任せられる「守りの人材」の育成に特に力を入れていきたい。

会社概要

会社名株式会社マルマツ
事業内容チルドぎょうざ・冷凍ぎょうざの製造
代表者名山下 光明
代表プロフィール高校卒業後、5年間アパレル会社へ勤務したのち、同社入社。1990年に代表取締役社長へ就任。
沿革昭和41年 浜名郡雄踏町宇布見5378番地に株式会社丸松商店を設立創業
平成23年 中国工場稼働
平成28年 本社工場・冷凍専用第2工場 ISO22000:2005を認証取得
本社所在地〒431-0102
静岡県浜松市西区雄踏町宇布見1703-1
URLhttp://www.marumatsu-no1.co.jp/