Q.起業までの経緯は？

私は、上場企業の人事部で働いていたが、1995年、バブル崩壊とともに会社が倒産した。転職活動を行うにあたり、人材ビジネスに興味を持っていたのだが、転職活動において魅力的な人材会社に出会うことができなかった。それでも、技術者派遣を手がける会社が名古屋支店を立ち上げるということで、そこにジョインし名古屋支店の立ち上げに携わった。しかし、私が所属していた技術者派遣部門が事業譲渡されることになったため、自ら起業することに決めた。起業する際には、8名の技術者が私についてきてくれた。

そのうちの一人が私に言ってくれたことは、人材派遣に対する私の考え方を良い方向に変えてくれた。彼は技術者の人材派遣に対して誇りを持っており、「人材派遣は景気経済と同じ。マネーの流通が増えれば景気が良くなるのと同様に、人材派遣を通して技術が流通すれば、日本全体の技術レベルを底上げすることができる」と言ってくれた。人材派遣というサービスに対して、このような考え方をする方には出会ったことがなかった。彼は、創業時に出資までしてくれ、現在は当社の取締役を担っている。

創業時から一貫して、キーワードは「人」であり、人と技術の融合のためのチャレンジを当社のミッションとしている。

Q.どのような理念・想いで事業をやっているのか？

「イー・バレイは夢を実現する会社です」、「イー・バレイは人を大切にする会社です」という理念を掲げている。イー・バレイの夢は、技術を通して新しい価値を創造し、社会の発展に寄与し、多くの人に幸せと喜びを提供すること。そのためには、従業員ひとりひとりが能力を最大限に発揮し、自信と誇りを持って思い切り働ける環境を創出することが重要だ。このような当社の理念に共感していただける顧客、従業員、取引業者と一緒に事業をやっていきたい。

Q.どのような事業を行っているのか？

「全方位型技術支援」という機械・電子・ソフトの3分野で開発支援を実施している。常駐型で行う機密性の高い製品開発支援と、社内開発部門による装置開発支援の融合により、お客様のプロジェクトを成功へと導く。当社は、お客様に「よりよいものづくり環境を提供すること」を社員全員で目指す技術者集団である。

当社の特徴は、お客様からの要望に対して、部門横断的に全社員が協力し合い、問題解決に当たっていくこと。お客様のお困り事に対して「常駐するイー・バレイ社員が代行者となり自社へ業務を発注。社内開発メンバーがノウハウを駆使してソリューションを提供するシステム」という意味で、当社ではこのようなサービス形態を「SDS（ソリューション・ディスパッチャー・システム）事業」と呼んでいる。

Q.今後の注力分野、新規事業は？

当社は組込制御系の技術支援が強いが、やはり技術者魂としては自社製品を開発したいという意向が強くある。その一環として、以前、大学との共同研究で、触覚を持つロボットの開発を進めており、当社の技術が認められ総務大臣賞を受賞したFPGA搭載した制御基板「Eden」を活用した「林業ロボット」の開発に取り組んでいる。これまでは、人間が木を登り、枝を切り落としていたが、高齢化が進み、林業の担い手不足が深刻だ。そこで、林業ロボットが自動で木を登り、枝を切り落とすことを実現したいと考えている。

Q.今後のビジョンは？

まずは、「お客様満足度No.1」を勝ち取りたい。お客様から担当者が信頼され、お客様のあらゆる要望に的確に応える。お客様により良いものづくり環境を提案・提供する。その結果、お客様が技術的な課題を抱えたときに、真っ先にイー・バレイに相談してもらえる「ファーストコール・カンパニー」のポジションを確立したい。更に、「イー・バレイ・ブランド」を確立したい。その一環として自社製品の開発があり、他社に真似してもらえるような製品を作ってきたい。

Q.今後の課題は？

中間層のマネジメント力が弱いことだ。以前は、トップダウンの傾向が強かったが、現在は各部門長と連携しながら経営を進めている。今後は、課長クラスの経営的な能力・スキルを高めることが必要となる。特に、部下を巻き込み、顧客に対して価値を提供する「推進力」を伸ばしていきたい。

マネジメント力を強化するために、OFF–JTに力を入れている。具体的には、土曜日に研修会を開催し、部下に対するモチベーションを上げるための評価者訓練、技術的な議題についての成果報告会を行っている。また、社外の教育機関を利用した研修にも参加させている。このような研修を通じて、管理職は年間24時間、若手は年間8時間以上、社内／社外での教育を上手く組み合わせ、効果のある教育システムを構築している。

Q.求める人物像は？

やる気と素質のある人間を求めており、今持っている技術力や経験は関係ない。入社後は、イー・バレイは夢を実現する会社として、本人がどのような技術者になっていきたいのか、どういう分野で成長していきたいのかをヒアリングし、そのための環境を提供しているため、存分に活用してもらいたい。

入社後は、ものづくりに興味を持ち、自ら調べて動いていくことが求められる。また、当社では3つのキャリアパスを用意している。一つは「技術のマネジメントコース」として技術の管理職を目指していくキャリア。二つ目は、「技術の専門コース」として、技術者を極めていくキャリア。三つ目は、「技術の事業化コース」として、当社の新規事業を創造していくキャリアだ。ただし、キャリアパスを選択するのは、入社後すぐではなく、ある程度様々な仕事を経験してからとなる。