「一ノ関と東京を食で繋ぐ」世界で一番、お肉に真剣な会社

株式会社門崎 代表取締役 千葉 祐士 様

Q.どのような理念・想いで事業をやっているのか?

「日本の食と農の未来を消費者と生産者と共にデザインする」という経営理念を掲げ、その実現に向け生産者と消費者をダイレクトに繋げる連携6次産業化を推し進めている。また、生産者と消費者を結びつけるハブとして、「格之進」というブランドで飲食店を展開している。中期ビジョンとしては、2020年までに、「100名の正社員」、「400名のパート社員」、「30億の年商」を実現することで、連携6次産業で東北を代表する企業となることを目指している。

Q.そのための事業戦略は?

マーケティング戦略としては、「体験する」、「交流する」、「発信する」をベースに据え、格之進のファンを広げる取り組みを行っている。

「体験する」とは、熟成肉と非熟成肉の食べ比べを通して、その違いを体験してもらうこと。突き詰めれば、「違いの分かる自分」になってもらうことで、自己実現欲求を刺激される機会を提供している。また、「食事=消費=投資」という考えのもと、「自分が何を食べるかによって、日本の未来の畜産・農業を守ることにつながる」ということに共感してくださる食リテラシーの高い消費者の仲間を増やしていきたい。

「交流する」とは、生産者と消費者をいかに交流させていくのかということ。お店とは、ショールームでありハブであるという考えのもと、お客様がワクワクする未体験の食イベントを通じて生産者と消費者の相互理解を深めている。

「発信する」とは、交流することによって私たちの想いに共感してくださった方々に、自分事としてSNSなどで情報発信して頂くこと。具体的には、生産者への訪問ツアーの実施や、生産者を招いたお店での交流会、また、“お肉”にまつわるストーリーを聞きながら希少部位を食す“お肉”の解体ショーなどを開催している。

Q.店舗戦略については?

当社では、牛一頭の価値を最大化する仕組みをどのように構築していくのかを大切にしている。そのため、価格帯、提供する牛の部位などでポジションを明確にした店舗づくりを徹底し、店舗ごとのカラーを明確に打ち出した展開を行っている。

加えて、飲食店はハブであり、ブティックであり、ショールームだと捉えている。飲食店では、座席数以上の売り上げを作ることができない。そこで、店舗だけでなく自宅でも格之進を楽しんでいただくためにオンライン販売に注力している。そのためには、店舗をいかにブランディングし、自宅で味わっていただけるかが重要である。

また、六本木エリアで10店舗を展開することを目標としている。店舗数拡大の狙いは、国内でのブランディングと海外出店を見据えており、その際、国際交流都市である六本木エリアにおいてお肉で10店舗を展開しているという事実が、ブランド・信用の裏付けになると考えている。

岩手の生産物を使い、それらを店舗(ハブ)を通じて、オンラインショップでも購入いただけるよう、独自のO2O施策で地方創生に貢献していくのが私たちの使命だ。

Q.このようなビジョン・戦略をどのようにして練り上げたのか?現状うまく実行できている理由はどこにあるのか?

「お肉を通じて世の中にどのような価値を提供できるのか」という自分の天命を突き詰めた結果、一関と世界を繋げることに全力で取り組むことを直感的に見出した。どのような事業であれば沢山の人に応援されるのかと考えたところ、「一関という地方にいる」ことが最も強い武器だと考えた。岩手に本社を持ち、岩手という地域を活性化したいという強い想いがあるからこそ、消費者の方々に他の飲食店との違いを感じていただき、格之進を応援してもらえていると考えている。

加えて、事業に懸ける想いが強ければ強いほど、想いの強い人たちに信頼されるブランドになることができると信じている。自分が世界一になれる土俵を自ら創り上げることにより、その土俵で楽しんで頂ける人々を増やしたいと考えている。

Q.このような構想を実現していく上で、千葉社長らしさ、格之進らしさ、根源となる強みはどこにあるのか?

私は「無知の知」ということを認識している。つまり、自分の専門分野についても、まだまだ無知であるということを認識している。その上で、専門分野で世界一を極めるための努力を続けている。一方、自分が得意でないことについては、それを得意とする人に協力してもらえるような人間になるための努力をしている。その結果、たくさんの人々に応援されるような土俵を築きつつあると感じている。

また、当社で最も大事にしているのが理念浸透であり、「何のために自分たちは集まり、何のために仕事をしているのか」をスタッフ全員に考えてもらう機会を創っている。具体的には、研修会やキャリアアップ面談を毎月開催するなど、社員教育に対しては積極的に投資している。

Q.格之進のファンになっているのはどういう人々なのか?

お肉を通じて、私たちの事業活動に共感し、ファンになってくださる人が多い。店舗では、スタッフとお客様の距離が近く、気さくなコミュニケーションが飛び交っている。スタッフとお客様とのキャッチボールが頻繁だからこそ、お客様のご意見もリアルタイムで頂けることが多く、まさに店舗・スタッフともにお客様に育ててもらい成長している。

また、格之進では、本物のお肉を徹底追及しているからこそ、想いに共感してくださるお客様が付いてきてくれ、お客様がまた新たなお客様を連れてきてくれる。このようにして、「人の信用」と「口コミ」で格之進を応援してくださるファンの輪が広がっている。

Q.格之進はなぜそこまで、お客様が応援してくれるのか?

他よりも安く仕入れて、他よりも低価格で提供するというデフレスパイラル的な思想ではなく、長期的視点で地方創生のために事業を展開するという明確な志を持って、行動しているからこそ、それに共感してくださるお客様からの信頼を獲得できると考えている。

格之進の特徴は明確であり、消費者が主体となるような店づくりをシステマチックに実現していること。お店が主体とならないように、「どのような顧客体験を提供し、どのように他との違いを理解していただき、お客様一人一人の自己実現の欲求を満たしていくか」ということをお客様と一緒に創ることによって、お客様に心から応援され愛されるお店を目指している。

Q.「想っていることが形になる」千葉社長がそのことに気づいたタイミングは?

出来ることを大前提に考えている。どうやったら出来るかということだけをシンプルに考えそのような思考回路をもつ努力をしている。震災で会社が潰れそうになり、個人財産を手放し、資産を全て会社に投入した時に覚悟がついた。会社を生かすことに全てをつぎ込み、人を辞めさせないことを決意してからは、一番大切なのはお金ではなく、「ヒト・モノ・カネ」という順番通りだと痛感した。人に必要とされることを本当の意味で突き詰めた結果、今の自分がある。

Q.今後の課題は?

理念浸透経営によって、「なんのために働き、なんのために事業を行い、何のために当社は存在しているのか」ということをスタッフ一人一人が意識し、自分なりの答えを持てるような環境を引き続き創っていきたい。

会社概要

会社名株式会社門崎
事業内容・牛肉販売、卸業
・牛肉加工品製造
・飲食事業
・飲食店運営サポート事業
・牛肉の啓蒙活動
代表者名千葉 祐士
代表プロフィール1971年生まれ。岩手県一関市出身。牛の目利きを生業とする家に生まれる。27歳で「一関と東京を食でつなぐ」ことをビジョンに掲げ、1999年4月岩手県一関市にて「焼肉屋 五代格之進」を創業。
“お肉”のユニクロを実現するために2008年10月に株式会社門崎を創設し、和牛の生産をとおして日本を盛り上げたいと考え、熟成肉生産の先駆者であり、和牛の魅力を表現する食のバリエーションを酢次々と開発し、提供。 6次産業という言葉が誕生する前から、生産、加工、流通の相乗効果に重きをおき、お客様に日本の食文化を楽しめる最高のサービスを提供できるよう尽力。また、日本の食文化の基盤を強固にし、育み、発信することを目的として活動を行う「全日本・食学会(http://aj-fa.com/business/)」の肉料理部会分科会である「肉肉学会」を主宰し、農林水産省および見識者と共に肉の可能性について探求している。外国人および学生向け講演会も多数。
著書:「熟成・希少部位・塊焼き 日本の宝・和牛の真髄を食らい尽くす(講談社+α新書)」
沿革1999年 創業
2004年 丑舎格之進 川崎本店開店
2007年 格之進TOKYO(練馬区桜台)開店
2010年 格之進R(六本木)開店
2013年 ミートレストラン格之進(一関)、焼肉のろし(岩手県陸前高田)開店
2014年 肉屋格之進F(六本木アークヒルズサウスタワー)開店
2015年 格之進Rt(代々木八幡)開店
2016年 KABCO(六本木)開店
2017年 格之進Nikutell(六本木)、格之進EX(談合坂SA)開店
本社所在地〒029-0202
岩手県一関市川崎町薄衣字法道地21-16
年商8億円
従業員数130名(2016年10月)
URLhttp://kakunosh.in/