半導体周辺回路と応用製品の開発設計を行うエンジニアリング集団

株式会社Wave Technology 代表取締役社長 石川 高英 様

Q.当社が設立された背景、社長就任までの経緯は?

当社は1984年、三菱電機株式会社の半導体事業の技術支援をする会社として、三菱電機関連8社が共同出資し設立された。設立当初は売上の100%が三菱電機であったが、三菱電機以外の顧客も増えている。現在は、ミヨシ電子株式会社1社に資本が集約されており、同社の大株主は三菱電機である。私は三菱電機に就職し33年勤務していたが、2016年にWave Technologyに転籍し、8代目の社長に就任した。

Q.現在の事業内容は?

当社は、エレクトロニクス分野の国内企業に向けて、電子機器・電子回路・半導体等の研究開発支援業務を提供している。具体的には、自社に保有しておられない技術を短期間で取り込みたい要望をお持ちの企業や、エンジニアリングリソースが不足している企業に対して、開発・設計受託、技術コンサルティング、技術者教育などのサービスを提供している。

顧客は、電子機器メーカー、半導体メーカー、自動車機器メーカーなどを中心に多様な業種に分布している。近年、業界変化の激しい企業から、いち早く新技術の取り込みを図りたいというご要望をいただき、お声がかかるケースが多い。

Q.具体的にどのようなサービスを提供しているのか?

第一に、IoT開発に貢献するアナログ・デジタル回路設計サービスだ。当社では、IoT製品が必要とするセンシング技術や無線モジュール技術などのハードウェア設計とソフトウェア設計を組み合わせ、ワンストップで開発することができる。近年、お客様からの引き合いが増えている成長サービスだ。

第二に、シミュレーションサービスだ。お客様の試作回数を削減し開発をスピードアップするために、当社が電気・熱・応力などのシミュレーションを代行するというサービスだ。シミュレーションは、単にパラメータを入力して計算させるだけでは現実となかなか合わない。当社は、現物の評価結果をシミュレーションに反映することで高精度な計算結果を提供している。顧客からは「シミュレーション結果の精度が高い」と好評だ。

第三に、評価・解析サービス(リバース・エンジニアリング)だ。これは、競合他社の製品を分解し、他社の技術方向性を把握したり、動作原理を検証するというサービスだ。近年では、自社製品をリバース・エンジニアリングして欲しいという要望も増えている。半導体業界は製品サイクルが早いため、自社ロングセラー製品に組み込まれている半導体部品が販売中止になることが多くある。代替となる半導体部品を探し出し、再設計する必要があるが、古い自社製品には回路図が残っていないことも多く、まずは回路図を復元する必要が出てくる。そのために自社製品をリバース解析して欲しいという要望が増えているのだ。

第四に、カスタム計測サービスだ。これは、新製品を開発する際、試作品を計測する必要があるが、新製品故に自動で測定できる装置が世の中にないことが多い。この計測業務は自社エンジニアが行うしかなく、非常に手間がかかるため貴重なエンジニアリングリソースを無駄にしてしまう。そこで、システム的に行うべく自動計測装置を開発するニーズがあるのだ。当社では、自動計測装置の設計から計測データを分析するところまでワンストップで提供している。

そのほか、今後伸ばしていきたい成長事業として技術者教育がある。これは、座学による教育のみならず、当社が顧客企業の一人ひとりのエンジニアに向き合い、実験を含めた実践型教育やレポート添削を通じて、即戦力となるエンジニアを育成していこうというサービスだ。

Q.当社の強みは?

第一に、200名規模のエンジニア集団で当社ほど多様な技術を有している会社は珍しいということ。規模が大きすぎないことで、部門横断的な連携を図りやすい。また、複数の技術を組み合わせた、複合的で難易度の高い仕事を手がけられる同業者はほとんどおらず、そうした案件は多様な技術を持つ当社が一手に引き受けることができる。

このような広範囲の技術を獲得した秘訣は、お客様からの難しいご依頼に対して「No」と言わず懸命に対応してきたこと、社内に開発部門を持ち、大学と連携しながら開発力を磨いていること、技術教育センターを持ち、社内で構築した技術を共有する仕組みが整っていること、であると考えている。

第二に、技術コンサルティングを提供できること。日本企業は研究開発の生産性が欧米に比較して低く、その原因はオープン・イノベーションが充分に浸透していないことが原因との指摘がある。この状況を改善するためには、該当技術を保有する企業からスピーディーに技術を取り込むことが一層重要になることから、今後益々、技術コンサルティングの引き合いが高まると考えている。

第三に、社内コミュニケーションを活性化する取り組みが定常的に行われていること。

技術者は黙々と開発・設計にあたる職業であるため、孤独感を感じないよう会社が心配りをすることが大切だ。誕生月の社員には、社長のポケットマネーで図書カードをプレゼントするなど、社内を明るくしつつ勉強への意欲アップを図る活動を行っている。そのほか、毎月1回各部署で表彰を実施したり、社長が部署ごとに飲み会を開催したり、サークル活動を推奨するなど、社内を活性化する取り組みには力を入れている。このような取組みを通して、社員を称賛する文化や面倒見の良さが、企業文化として醸成されつつある。

Q.今後のビジョンは?

2025年までに「オープン・イノベーションの旗手」になることを掲げている。そのために、外部とのネットワーク作りを進め、当社がプロジェクトリーダーとなって、外部パートナーとのネットワーク力を武器に包括的なサービスを提供していきたい。それにより、お客様からいただく様々なご要望に対して、当社にお声がけいただければ必ず解決できるという体制を築いていきたい

Q.今後の課題は?

第一に、技術コンサルティング事業を拡大させていくこと。そのために、社内のエンジニアに対して、お客様の顕在的なご要望だけでなく、潜在的ニーズまで把握できる能力を養成していく。

第二に、技術者教育事業を拡大させていくこと。そのために、まずは当社教育事業の特徴である労働集約的アプローチでしっかりと技術伝授を行うことに注力する一方、IT化も進め業務効率化とコンテンツの資産化を促していく。

第三に、エレクトロニクス分野での技術プラットフォーム企業となるためのネットワーク作りだ。そのために、大学・同業他社・類似事業者との連携を強化していく。

第四に、AIを活用した研究開発の効率化だ。これは、エンジニア不足の解決策にもなるため、将来的には顧客企業に対してもサービスを提供していきたいと考えている。

Q.人材育成はどのように行っているか?

社内の技術教育センターにて人材育成を一括管理している。具体的には、新人教育、専門技術教育、選抜教育、社員ひとりひとりの専門分野を増やすマルチワーク教育を行っている。また、所属部署外の先輩が若手社員のキャリア形成を支援するメンター(徒弟)制度も整っている。

Q.求める人物像は?当社で働く魅力や価値は?

「好奇心」、「向上心」、「向学心」の3つの「こう」を持つ方を求めている。年齢・性別・国籍などを問わずに採用している。

当社で働く魅力は、エンジニアとしてお客様のお役に立てているのを肌で感じられることだ。特に当社は、お客様から「技術レベルの高さ」を評価いただくケースが多く、エンジニアのやりがいにつながっている。また、200名規模なので、いつでも社長と話すことができるなど、社長との距離が近いこと、更に、意欲さえあれば高いレベルの技術を身につく環境が整っていることも、当社で働く魅力だろう。

会社概要

会社名株式会社Wave Technology
事業内容半導体及びその応用製品の開発・設計
代表者名石川 高英
代表プロフィール1958年生まれ。1983年 電気通信大学修士課程終了後、三菱電機株式会社に入社。 2005年 高周波・光デバイス製作所 開発部長、2012年 半導体デバイス事業本部 生産システム部長。2016年 株式会社Wave Technology代表取締役社長就任。工学博士。
沿革1984年 三菱電機(株)系列、ミヨシ電子(株)など関連会社8社が設計専門会社として「株式会社ケーディーエル」設立
1986年 三菱電機(株)と取引開始
2003年 ルネサステクノロジ (現:ルネサスエレクトロニクス)設立と同時に取引開始
2005年 「株式会社Wave Technology」に社名変更
本社所在地〒666-0024
兵庫県川西市久代3丁目13番21号
年商21億1930万円(2017年3月実績)
従業員数209名(2017年8月)
URLhttp://www.wti.jp/