近畿圏を中心に約360校を展開、成長を続ける個別指導塾

新教育総合研究会株式会社 代表取締役社長 福盛 訓之 様

Q.起業した理由は?

大学入学後、大手学習塾の塾講師アルバイトを始めた。中学生の時、学習塾に通って勉強に対するやる気が高まったという経験があり、塾講師の仕事に興味を持っていた。しかし、いざ働いて見ると実態は大きく異なっていた。学生アルバイトに対して適切な研修が行われていないなど、保護者に対し謳っている教育の質とはだいぶかけ離れていることを目の当たりにした。これではいけないと思い、大学在学中に19歳で個人学習塾を創業するに至った。

現在、個別指導塾の「個別指導キャンパス」を近畿圏中心に約360校を運営し、小学校一年生から高校三年生まで1万9000名を超える生徒を抱えている。講師約5,300名で指導にあたっており、偏差値の近い生徒2、3人に講師が1人ついて、生徒それぞれの志望校や学力に合わせた指導を得意としている。

Q.起業からこれまでの経緯は?

1993年、大学一年生で起業した。当時は、家賃4万4500円で6坪の手作りの教室で、生徒3名からスタートした。それが、口コミを通じて300名まで生徒が徐々に増えていった。順調に成長していたので、多校舎展開したいと考えるようになった。しかしながら、私は経営については何も学んでいなかったので、20代後半から経営に関する勉強を始めた。そして、2004年に2校舎目を開設したところ、1ヶ月で100名の生徒を集めることに成功した。その時から、売上を上げることよりも指導品質で日本一になることを目標に掲げている。2006年から積極的に新校舎を開校し始め、2024年3月現在では、近畿圏を中心に約360校舎を運営し、小学校1年生から高校3年生まで約1万9000名の生徒数を抱えるまでに成長した。これは、塾業界の中でトップクラスの成長率だと自負している。

商品設計からマーケティングまで、綿密な戦略を描いて実行したところ概ね上手くいき、校舎数が増えても集客には困らなかった。しかしながら、人材採用と人材育成には大いに苦労した。やはり、企業規模が小さい頃は、応募者の量・質ともに低く、その中から人材を選ばざるを得なかった。この苦労は、創業してから10~15年目まで続いた。ただ、会社の規模が拡大するにつれ、徐々に応募者の質は高まってきている。

学習塾は労働集約産業であるため、採用と育成面で勝ちパターンを作らなければ、組織が大きくならないことに気づいた。社員教育の重要性に気づき、育成に力を入れるようになった。その結果、育成が順調に進み、組織としてまとまりつつあった2011年頃から業績が上がり始めた。

Q.どのような理念・想いで事業をやっているのか?

能力の高い人が、自らの立身出世のみを追求し、利他の心が足りない世の中に危惧している。私は、秀才の方には世の中のためになることに力を注いで欲しいと考えている。このように私が考えるようになった原点は、起業当時の経験にある。当時は、裏路地の人通りが少ない場所に教室を構えていたため、生徒になるのは他塾の入塾試験に落ちるような勉強のできない子ばかりだった。起業する前までは、勉強できない子というのは単に怠け者で勉強をしていないからだと決めつけていたが、講師として彼らに寄り添ってみると、勉強に対するやる気があるにも関わらず、あまりにも記憶力がなさすぎて点数が取れない子や、家庭環境が劣悪で思うように勉強できないという子が多いことに気づいた。そのような現状を目の当たりにし、彼らのような勉強の苦手な子供たちにも個別指導を通じて、勉強の楽しさを伝えていきたいと思うようになった。

Q.少子化により子供の人口が減る中で、なぜここまで急成長できているのか?

「倫理観」と「商品設計」という大きく2つの要因があると考えている。

第一の「倫理観」とは、社会や世の中がどうあるべきかを考え抜くことだ。弱肉強食で、富める人は富み、貧しい人はさらに貧しくなり、学歴と貧富の格差が極端に拡大していく世の中は望ましくない。私は、貧乏であろうと、基礎学力が低かろうとも、チャンスは平等に与えられるべきと考えている。そこで、大手の学習塾がやりたがらない、経済的に裕福ではない家庭、学力の低い層をターゲットに据えた。また、業界に先駆けて、一定期間成績を上げることができなければ授業料を3ヶ月免除するという「成績保証制度」を用意している。これは当社が先駆けたものだが、今では塾業界全体に普及することになった。

第二の「商品設計」については、世の中で必要とされているものを低価格で提供すれば支持されない理由はないと考えている。「高価格・高品質」はなかなか普及していかない。「低価格・低品質」は一時的に支持を得られるかも知れないが長続きはしない。当社は圧倒的な「低価格・高品質」で勝負をかけた。高品質なサービスを、同業他社の60%程度の価格で提供している。

低価格を実現するために、オペレーションの合理化を進めた。一つは、広告宣伝費の削減だ。「低価格・高品質」であれば、口コミで生徒が集まるため、余計な広告宣伝費をかけずに済む。二つ目は、個別指導における生徒と講師のマッチングを機械化したことだ。個別指導塾では、生徒ごとに授業の要望が異なり、講師のシフトも様々であるため、生徒と講師のマッチング作業をアナログで行うと膨大な手間がかかってしまう。そこで、当社は、生徒の要望と講師のシフトを入力すると、自動的にマッチングが行われるシステムを開発した。これにより、マッチング作業やカリキュラム作りに割く時間を2万8000時間から3000時間まで大幅に削減することに成功した。その分、講師の休日を増やし、一人一人の働くモチベーションを高めることができた。その結果として、指導の質が向上し、生徒の退会率大幅に減少させることができた。

Q.民間の教育企業として何を大切にしているか?

教育という言葉には、「知識の伝達」と「モチベーションを高めること」という2つの要素が含まれていると私は考えている。「知識の伝達」については、必ずしも人が直接指導する必要はなく、Eラーニングでも済ませることができる。一方、「モチベーションを高めること」は、映像授業では不可能だ。「いかに生徒のやる気に火をつけられるか?」という課題は、今後も依然として残っていくはずだ。

モチベーションを高めるためには、褒めて伸ばすことが重要だ。高度成長期のように、自らモチベーションの上がる要素は減ってきている。そんな中で、講師が生徒一人ひとりのささやかな変化や成長に気づけるかどうかが大切であり、そのためには変化に気づける繊細さを持つ必要がある。生徒は褒めてくれる講師のことを人として好きになり、徐々に生徒と講師の間に信頼関係が出来上がってくる。その上で、生徒が小さな成功体験を積み重ね、自信を持つようになり、モチベーションを高めることができるのだ。

Q.当社の強みは?

起業してから30年になるが、私はまだ50歳(2024年3月時点)であり、会社のトップが若いことは大きな強みだろう。会社全体が若いため、今後の伸びしろは大きく、まだまだ成長できる余地が大いにあると考えている。私は、企業の本質的な強みというのは、社員の高い志と謙虚な姿勢に宿ると考えている。当社では、長きに渡り、素直で、謙虚で、真面目に、大儲けを狙わずにいく姿勢を、社長だけでなく、幹部や社員に広げることができており、そのような企業文化を醸成できたことも強みだと捉えている。

Q.今後のビジョンは?

対外的なビジョンとしては、教育格差の是正に向け、当社のような民間教育を通じて教育水準の底上げに寄与していきたい。そのためには、校舎数を増やし、生徒を増やしていく。マーケティング調査に基づき、当社では2500校舎まで拡大することが可能だと考えており、その場合年商340億円規模の学習塾となることができる。この規模を10年で実現していきたい。まずは、3年以内に400校舎を目指している。

一方、社内的なビジョンとしては、社員を経済的にも精神的にも豊かにして、仕事に誇りを持ってもらえるようにしたいと考えている。

Q.今後の課題は?

永遠の課題として、人材の育成が全てであると考えている。そのためにまず、人としてどうあるべきかを記した「新教育フィロソフィー」という経営哲学を用意し、社員に対してフィロソフィーの浸透を徹底している。これは人材育成、ひいては企業の成長に不可欠だと考えている。そのほか、毎日メールで発信している「社長通信」の内容を、各部署の朝礼で話し合ってもらっている。また、毎月一回実施する全体朝礼の実施や、全員参加する社員旅行、運動会、文化祭などの社内イベントを通じて、社員全員のベクトルを合わせ、フィロソフィーの浸透を図っている。フィロソフィー教育は2011年頃から力を入れ始め、現在まで効果は出続けている。具体的には、離職率の低下、顧客満足度の向上、退会率の低下、その結果、業績の向上に結びついている。

フィロソフィー教育の中で最も大切にしている考えが、「社員の心と生活をともに豊かにする」ことだ。社員全員が将来良くなっていくために、毎年少しずつ休日を増やし、残業時間を減らし、給料を上げている。そのように社員が安心して働けるような環境を整えてきたことで、他の社員に対して適切な教育・啓蒙をしてくれるリーダー的な社員が増えてきている。

Q.求める人物像は?当社で働く魅力や価値は?

「仕事を通じて、自分の人生を実りあるものにして欲しい」、「教育を通じて世の中を幸せにし、公明正大に会社と自分の人格を成長させていく」という2つの想いに、共鳴してくれる人にぜひ来てほしい。

当社で働く価値は、教育産業に携わっているため、社会的意義の大きなことに貢献できる実感を得られること。また、フィロソフィー教育や社風を通じて、前向きに新しいことに挑戦する環境が用意されており、社員一人ひとりの人格とスキルの向上に必ず貢献できるという自負がある。加えて、「全社員が一丸となりみんなで良い教育を提供していこう」という一体感の下、チームワークで仕事ができることも当社の魅力だろう。

 

会社概要

会社名新教育総合研究会株式会社
事業内容学習塾 『個別指導キャンパス』 の運営
代表者名福盛 訓之
代表プロフィール1973年大阪市生まれ。大学在学中、19歳で起業。1996年に新教育総合研究会株式会社を設立し、代表取締役に就任。指導品質及び事業規模日本一を目指して邁進中。現在、全国約360校に約19,000名の生徒を有している。
沿革1993年 福盛訓之が大学在学中の19歳の時に城東区にて起業、開塾
1995年 個別指導部門指導開始
1996年 法人化し、新教育総合研究会株式会社が設立され福盛訓之が代表取締役に就任
2007年 個別指導専門教室の本格的展開を開始。第1号は放出校。同年、京都府に進出
2012年 奈良県に進出
2013年 愛知県・愛媛県に進出
2015年 兵庫県に進出
2019年 東京都・千葉県に進出
2020年 埼玉県に進出
2024年 福岡県に進出
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